J屈指の豪華メンバーを擁するヴィッセル神戸は、本拠地開幕戦を無得点で引き分けた。MFイニエスタ主将が今季初先発も、リーグ開幕から3戦未勝利(2分け1敗)で、うち2試合が無得点。この日のシュート数は福岡の11に対し6本だった。今季初勝利へ、ピッチのスペースを広く使う必要性を指摘した。

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Jリーグが幕を開けて30年目のシーズン。コロナ禍はまだ油断はできないが、神戸の本拠地開幕戦はほぼ満員だった。その光景を見た瞬間、私には節目の年を祝っているかのように映った。神戸は勝ち点3が欲しかっただろうが、うまく長所を消されたように感じた。

福岡は最初の守備から徹底的にボールへのチェックを仕掛け、神戸に「どう崩すか」というイメージを描かせなかった。ボールは持たれているが、リズムは作った-。それが福岡の戦略だったのではないだろうか。

神戸はビルドアップの際に余裕がなく、(スペースが)狭いという印象だ。ピッチの横幅をうまく使えば技術を生かせるし、相手にプレスをかけられても奪われない。4バックと、アンカー(中盤の底、守備的MF)のポジショニングは極めて重要。インサイドハーフ2人も含め、スペースを広く使うことができれば考える時間も生まれる。相手に「ボールを取れない」と思わせる戦術が必要だ。

FWに出るパスの種類、サポートも限定されていた。無得点に終わったのは、FWだけの責任ではないだろう。

イニエスタの状態はまだ6~7割ほど。今後、さらにキレが出てくるのが楽しみだ。(日刊スポーツ評論家)

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神戸対福岡 福岡と引き分け、スタンドのファンにあいさつするイニエスタ(中央左)と大迫(同右)ら神戸の選手たち(撮影・前田充)
神戸対福岡 福岡と引き分け、スタンドのファンにあいさつするイニエスタ(中央左)と大迫(同右)ら神戸の選手たち(撮影・前田充)