7大会連続のW杯出場を決めた日本は、ベトナムとの最終戦はドローに終わった。B組1位をサウジアラビアに譲り、7勝1分け2敗で2位通過となった。ベトナム戦を現地で観戦した日刊スポーツ評論刊で元日本代表FWの永島昭浩氏(57)は、11月の本大会に向けて今回の予選で気付いた収穫や課題を指摘した。

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日本がW杯出場権をつかめたのは本当によかった。ベトナム戦は勝てなくて残念だったが、ネガティブになる必要はない。

ただ、本大会でベスト8の目標を達成するには、日本が何を武器にして、どう戦うのかを整理し、明確にしなければならない。

例えば、主に中3日の試合が続く本大会の過酷さを考えれば、日本はフィジカル重視のバトルは絶対に避けなければならない。よりどころは、やはり正確な技術とポジショニングによる勝負になる。確実なプレーの積み重ねが重要だ。

現状で中心となって遂行できるのが、守田と田中のMF。2人は替えの効かない選手になった。守田はボールを失わない。日本の中ではフィジカルが強く、ボールを保持し、ためて、中盤で意図的に時間をつくれる。田中はビルドアップの際、仮に相手がプレスをかけてきても、いなし、かわす技術が高い。こういう攻防を制することは、想像以上に相手にダメージを与えられる。

この2人がいれば、仲間が正しいポジショニングを取るための時間をつくり、攻守の起点になれる。2人がいたから今回の予選で、伊東というヒーローが生まれた。残り8カ月、第2、第3の伊東を生むのも、この2人に頼る部分は大きい。現状では守田と田中のバックアップメンバーの名前が浮かばないほどだ。

最終メンバー23人への競争が激しくなる今後、8人前後は現在の顔ぶれからは入れ替わるだろう。東京五輪でメダルに届かなかった反省も生かし、改めて選手の質、量を上げていってほしい。(日刊スポーツ評論家)

日本対ベトナム 後半、パスを出す田中(左)(2022年3月29日撮影)
日本対ベトナム 後半、パスを出す田中(左)(2022年3月29日撮影)