22年ワールドカップ(W杯)カタール大会に向けたアジア2次予選の組み合わせが決まった。

日本はFIFAランク95位のキルギスをはじめ、同100位以下のタジキスタン、ミャンマー、モンゴルと同じF組だ。「天国組」とも言われているが、果たしてどうかな? 確かに勝負としては楽だ。天皇杯でJ1の強豪が地域リーグと対戦するようなもの。「J2選抜」や金メダルを取ったユニバーシアード代表でも勝てるんじゃないかな。

ただ、そうした相手との戦いはW杯本番の準備になるとは思えない。格差の大きい試合は力がつかない。得点も多く入るだろうし、本当に誰が得点力を持っているか見極めづらい。強化という面ではむしろ“地獄組”だよ。まだ第2ポットのイラクやシリア、オマーン、ヨルダンといった中東組と同組になった方が少しは緊張感があるし、経験にもなっただろう。最終予選では中東組は間違いなく絡んでくるはずだから。

森保監督もメンバー選考や戦術の落とし込みで、テーマが設定しづらい。若手を試すという手もあるが、J1が佳境に入った時期では選手が消耗し、クラブも選手を出しにくい。負傷でもされたら大損害だ。では南米選手権のように東京五輪世代中心のメンバーで実戦を積むか? これも相手の質を考えると、五輪本番へのシミュレーションにはならないよね。

日本だけでなく第1ポットの8カ国は楽勝ムード。本来なら第2ポット以下の4チームずつで2次予選を行い、第1ポットは最終予選からという方が、実力的には妥当に思える。でも、それだとテレビ放送権が売れないという、アジア連盟の思惑が見え隠れする。普及や強化よりも商売が優先なのは、アジア・サッカー界の「終わりの始まり」。欧州や南米との差がまずます開きそうだ。

正直、年内の日本代表にとって、強化のための実戦は9月と11月の親善試合しかない。9月は相手がパラグアイに決まったけど、11月はどこになる? 本当に強い相手とやってほしい。既に会場は国内と決まっているが、海外遠征してでも強豪と対戦してほしいくらいだ。いい相手に恵まれたら、それこそ東京五輪世代+オーバーエージで戦うのもありだと思う。(日刊スポーツ評論家)