「『自分はここにいるぞ』というのを見せたかったです」

 清水エスパルスMF石毛秀樹(23)は、25日のJ1第10節名古屋グランパス戦で豪快なミドルシュートを決めると、サポーターのもとへ走り、喜びを爆発させました。J1での得点は、2015年6月27日のFC東京戦以来1033日ぶり。チームの7戦ぶり勝利に貢献し、サポーターへの感謝を口にした。

 「ゴールを喜んでもらってうれしかったです」

 石毛はクラブの下部組織出身。ユース在籍時には、17歳6カ月14日のクラブ公式戦最年少でプロデビューを果たしました。年代別日本代表にも選ばれ、2011年のU-17(17歳以下)W杯に出場。4試合で3得点で、8強入りに貢献しました。その年のアジア年間最優秀ユース選手賞を受賞するなど、将来が有望視されていた選手です。

 トップ昇格を果たした12年以降も、コンスタントに試合に出場を重ねました。しかし、思うような結果が出せず、2017年にはJ2ファジアーノ岡山に期限付き移籍しました。「エスパルスに戻ってきた時に成長した姿を見せられるように、自分に厳しく戦っていきます」。育ててもらったクラブを初めて離れ、1年間の武者修行に向かいました。

 石毛は誰よりも清水を愛し、清水への思いが強い選手です。岡山にいた2017年シーズンは清水の全試合をチェックし、J1残留を決めた最終節アウェー・ヴィッセル神戸戦はスタンドで観戦。1度クラブを離れたことで、清水に対する思いはより強くなったといいます。

 「覚悟を持って帰ってきました」

 今季は開幕スタメンを勝ち取り、ここまで1得点2アシスト。移籍を決断した際に言った「成長した姿」を見せられていると思います。

 将来が期待されていた選手だっただけに、周囲からは「伸び悩んだ」と思われることも多かったはず。確かに一度は挫折を味わいましたが、まだ23歳。伸びしろもある選手です。リスタートと位置付ける今季は、石毛自身にとっては勝負なシーズン。「清水に石毛あり」と呼ばれる日が来ることを期待しながら、今後を追っていきたいと思います。

 ◆神谷亮磨(かみや・りょうま)1985年(昭60)8月28日、静岡市清水区生まれ。幼稚園からサッカーを始め、高校は東海大静岡翔洋(旧東海大一)に進学。08年入社。J1磐田やアマチュアサッカー担当などを経て、4月から清水担当。