W杯ロシア大会が開幕し、日本代表は19日にコロンビアとの初戦を迎えます。日本では全国各地でパブリックビューイングが行われる予定で、日本代表23人に選ばれた選手の「地元」も大いに盛り上がるはずでしょう。

 静岡県出身の私は、MF長谷部誠(34=フランクフルト)とMF大島僚太(25=川崎F)の活躍に期待しています。6月2日の紙面では、出身都道府県別W杯代表選手輩出人数を掲載。静岡県出身者は6大会連続で選ばれ、過去5大会を含めると計16人。2位が東京都の7人だけに誇れる数字ですが、何とか面目を保っている感じです。

出身都道府県別W杯代表選手輩出人数
出身都道府県別W杯代表選手輩出人数

 日本代表がW杯に初出場した98年フランス大会では、静岡県出身選手が9人選出されました。02年日韓大会も6人。ただ、06年ドイツ大会以降は減少し、今大会は2人だけ。県サッカー関係者からは「4年後は1人も選ばれないかもしれない」と危惧する声を多く聞きますが、既にJ1清水エスパルスとジュビロ磐田からの選出は0人になりました。正直、寂しいですし、「サッカー王国」から「サッカーどころ」になった感もあります。

静岡県出身の長谷部誠(左)と大島僚太
静岡県出身の長谷部誠(左)と大島僚太

 どうすれば、再び「王国」と認められるのか。私は、「個」の育成を徹底するしかないと思います。ロシア大会の数試合を見ても「個」の重要性を感じます。ポルトガルのFWクリスティアーノ・ロナウドはスペイン相手にハットトリックを達成。一方、スペインのディエゴ・コスタも同試合で2得点。1人で局面を打開できる選手が、世界で活躍できているのです。

 静岡からそんな選手を出すべく、4年後、さらにその先を見据えて、新たな取り組みをしなければいけません。多くの日本代表を輩出してきた清水FCのような選抜チームの再構成や、ポジション別のエリートプログラム、定期的な練習会など。他県がマネできない育成システムを作り、唯一無二のスペシャルな選手を作ってほしい。静岡には、それが実現できる土壌と、優秀な指導者がいる。私はそう思っています。

 簡単ではない道のりですが、今回選ばれた長谷部と大島の2人には、多くの期待が寄せられています。静岡のみならず、全国のサッカー少年の手本となるような、「静岡らしい」技術の高いプレーを期待しています。

 ◆神谷亮磨(かみや・りょうま)1985年(昭60)8月28日、静岡市清水区生まれ。幼稚園からサッカーを始め、高校は東海大静岡翔洋(旧東海大一)に進学。08年入社。J1磐田やアマチュアサッカー担当などを経て、4月から清水担当。