【アンマン=松尾幸之介】なでしこジャパン(FIFAランク11位)が4-0でベトナム(同35位)に圧勝し、8大会連続のW杯出場へ好発進した。FW岩渕真奈(25=INAC神戸)が日本の3点目を決めるなど全4得点に絡む活躍。16年4月からの高倉麻子監督体制では初となるアジアでの真剣勝負で前回女王が実力を示した。参加8チーム中上位5位までに与えられる19年W杯フランス大会の出場権獲得へ前進。B組の日本は10日に韓国、13日にオーストラリアと対戦する。

 フル回転の岩渕が、アジア連覇への船出を鮮やかに彩った。2-0の後半12分。左CKを起点とし、MF猶本が折り返したボールを、右足ワンタッチで振り抜いた。今大会初得点に「FWなので常にゴールは意識している」と新エースの自覚をにじませた。

 前半3分には前線で起点となり、FW横山の先制ゴールを演出。同17分には右サイド深くまで得意のドリブルで持ち込み、ピンポイントのパスでMF中島のチーム2点目を導いた。後半21分にもDF鮫島へのスルーパスで、FW田中のゴールにつなげた。全4得点に絡みながらも「チームとしてもっと点が欲しかった。もっといい試合がしたい」と満足はしなかった。

 17年6月に度重なるけがなどを理由にドイツのBミュンヘンからINAC神戸へ移籍。「東京五輪の1年前ぐらいには帰ってきて、日本でできることがあるかなと思っていた」。そんな理想を捨てての決断。「(自分を)ゼロにしたいと思った。計画は違いましたけど、いい決断でした」。トレーニングなどを見直し、17年10月のスイス戦で約7カ月ぶりに代表復帰した。

 19年W杯の出場権獲得へ、次は宿敵韓国戦だ。高倉監督は「1つ勝って少し落ち着いた。全てをぶつけたい」。岩渕は冷静に「相手どうこうより、自分たちがやる」と言い切った。11年W杯ドイツ大会で世界一に輝いた日本。その新エースは上位5カ国に与えられる出場権に満足せず、再びアジアの頂点へと導く。

 ◆アジア杯 A組(ヨルダン、中国、タイ、フィリピン)とB組(日本、韓国、オーストラリア、ベトナム)に分かれ1次リーグを戦う。各組上位2チームが準決勝、その勝者が決勝。準決勝の敗者は3、4位決定戦、1次リーグ3位は5、6位決定戦。上位5チームが19年W杯フランス大会出場権を獲得する。