ワールドカップ(W杯)ロシア大会以来の代表復帰となったDF長友佑都(32=ガラタサライ)は、MF中島翔哉と組んだ左サイドで存在感を見せた。FIFAランク5位の強豪を相手に見せた落ち着き、機を見たオーバーラップ、中島へのサポート-。その頼もしさは、さすがだった。国際Aマッチ通算110試合目も、いつも通りにこなした。

W杯は10年の南アフリカ大会から3大会連続で出場した。同じく3大会連続でW杯を戦った仲間で、主将を務めたMF長谷部誠と本田圭佑は代表を引退。GK川島永嗣とFW岡崎慎司は、森保ジャパンになってまだ呼ばれていない。14年リオデジャネイロ五輪世代の中島や、20年東京五輪世代のMF堂安律ら若手が招集され、顔ぶれは大きく変わった。12日のパナマ戦はベンチで戦況を見守り「僕たちが若いころ、出てきたばかりでギラギラしていたような、何の恐れもないプレーを(同じように)彼らが見せてくれて僕自身、原点に帰れたような気がした。もっと練習して彼らより走れるようにしないと、と危機感も感じた」。その「危機感」こそ、今の長友にとって“好物”なのは間違いない。

惨敗した14年のW杯ブラジル大会直後は目標を見失い、けがもあって1年間、思うようなプレーはできなかった。だが、今回のロシア大会の後は、4年前とは違う。「自分自身、やるからにはカタールは終着点ではなく通過点でやろうと思っている。そこは自分の中でも覚悟が芽生えている。通過点ですね、4年後は」。若手から受け取る大いなる刺激に、負けまいとする意地と、今後への覚悟。そこに長友らしさが詰まっている。

前所属のインテルミラノ時代のチームメートだったMFサネッティは、38歳までアルゼンチン代表として活躍した。「身近でお手本をずっと見てきた。30歳を超えたらオジサンと言われますけど、実際に30歳を超えてキャリアのピークを迎えた選手を間近で見てきた。僕もそういう選手になりたい。まだまだこれから」。高い目標を掲げた32歳の長友がまた、新たな1歩を踏み出した。