【バンコク(タイ)10日=杉山理紗】U-23日本代表が、金メダルを目指す東京オリンピック(五輪)イヤー初戦で、初の1次リーグ敗退の危機に見舞われた。

サウジアラビアとの初戦は、終了間際にバックパスのミスでPKを献上して1-2と黒星スタート。B組でいきなり最下位に沈んだ。試合後の選手のコメントから攻撃面、コミュニケーションなどで修正すべき課題が浮き彫りとなった。

最後まで打開策を見いだせなかった。後半3分に先制されて食野亮太郎のゴールで追いつくも、DF5人で守備を固める相手に追加点を奪えない。終了間際には逆にPKを献上し、決勝点を許した。最終ライン中央のDF岡崎慎は「自分たちは裏も突けず、サイドも変えられず、遅攻でしか攻められなかった」と悔しがった。この試合で、明確な課題が見えてきた。

(1)攻撃陣の連係 攻撃は岡崎の言うとおり単調で、2シャドーの食野、旗手の個人技頼みだった。ワントップの小川航基を含めた攻撃陣3人の連係は見られず、小川は72分の出場でパス11回と、ほとんどボールを受けられなかった。食野は「次はもっと中央に入って、よりゴールに近く、航基くん(小川)と関われるようなポジションに入っていけたら」と反省。旗手怜央も「もっとワントップやゴールに近い位置でプレーできたら」と同様の課題を挙げた。

(2)コミュニケーション ピッチ内で不足した。1次リーグ突破のため、引き分け狙いで勝ち点1を取ることも重要。MF田中碧は終盤の戦いについて「安定したボール回しでゲームを進めていくほうがよかった」。DF岡崎も「1-1でも良い、と共通理解ができれば、シンプルにできたかも。攻めたい人と攻めたくない人、そういうのが少しあったのかな」と振り返った。

(3)球際への執念 開催国の日本以外は東京五輪出場権がかかる。先制点を奪われた場面では、単独で仕掛けてきた相手にドリブル突破を許した。当然、日本選手も全力を尽くしたが、ギリギリの場面で、五輪出場を狙う相手の気迫が上回ったように見えた。

東京五輪イヤーの最初の試合だったが、いきなりB組の最下位に沈んだ。次戦の12日シリア戦に負けると、1次リーグ敗退と早くも崖っぷちに追い込まれた。過去3回の大会はすべて突破。東京五輪で金メダルを目指すチームに、予選敗退など許されない。立て直しが急がれる。