U-24日本代表MF久保建英(20=ヘタフェ)が2戦連発となる「4人股抜き」のスーパーゴールでチームを完勝に導いた。22日の東京五輪代表メンバー発表前の最後の試合となったジャマイカ代表戦。前半32分の左足シュートは、ゴール前を固めたDF3人とGKの計4選手の股を抜いて、ネットに突き刺さった。5日のU-24ガーナ代表戦に続くゴールとなる先制弾でチームは勢いに乗り4-0と圧倒。エースとして期待される男の衝撃の1発は、目標の金メダルへの期待をふくらませた。

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観客5000人を上限とするスタンドからも、どよめきが起こる一撃だった。前半32分。右サイドのスペースでDF酒井からボールを受けた久保は、得意のドリブルでゴール前へ切り込んだ。密集したジャマイカDF陣も構わず、コンパクトに左足を振り抜く。強烈なグラウンダーのシュートは、DF3人の股を抜くと、さらにGKの股も抜いて、ゴール左隅へ決まった。「(相手の)1人目は(股下を)狙ったけど、そのほかはただの偶然です」と、淡々と振り返ったが、衝撃の「4人股抜きゴール」だった。

ゴールは飲水タイム直後だった。スローインでボールを持ったDF酒井が目配せとあごを使ったジェスチャーで発した「裏へ抜けろ」のメッセージに反応。「ああいうところを狙うと楽だし、切り替えのところで上回れた」。A代表でもある相手の隙を突いたスーパーゴールの先制弾でチームに勢いを与えた。

鋭い機転は幼いころからずばぬけていた。川崎Fの下部組織時代、約10メートル先にあるゲートをいかに早く通過するか試す練習では、周囲が全力でドリブルを始める中で1人、大きくボールを蹴ってから走り抜けた。聞くと「ゲートを早く通過すればいいので」とさらり。目的に対して最適解を見つける発想力が、スーパープレーの源になっている。

昨季のスペインリーグでは苦しい時間も過ごしたが、所属のヘタフェでは居残りのシュート練習を欠かさなかった。「この半年間やってきて、自信がついてきている」と話していた手応えを体現。ゴール後に披露した両手で「K」を作るパフォーマンスは友人の名前のイニシャルを意味していたといい「(前戦の5日)ガーナ戦で忘れてしまっていたので」と話した。

攻守で圧倒して4-0の完勝。2試合続けてアベック弾となったMF堂安とともに、チームのエースであることを証明した。コロナ禍に揺れる五輪に向けて「まだなにも決まっていないけど、開催されたときにしっかり準備しておくのが選手の義務」。22日には五輪代表メンバーが発表される。確かな自信を手に、目標金メダルの本大会に向かう。【岡崎悠利】

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