サッカー日本代表(FIFAランキング23位)が決勝でチュニジア(同35位)に0-3で敗れ、2016年以来6年ぶりの開催となったキリンカップで優勝を逃した。守備の連係ミスを突かれ、まさかの3失点完敗。6月の国際Aマッチ4試合を2勝2敗で終えた。

11月21日開幕のW杯カタール大会に出場するチーム同士の顔合わせ。アフリカ予選8試合で2失点という「堅守速攻」のチュニジアに対し、GKシュミットダニエル、DFラインは左から伊藤洋輝、吉田麻也、板倉滉、長友佑都。MFは中盤の底に遠藤航、右インサイドに原口元気、左インサイドに鎌田大地。FWは左ウイングに南野拓実、右ウイングに伊東純也、1トップに浅野拓磨を配置した4-3-3布陣。この日も生命線とする攻守の切り替えの速さから多くのチャンスをつくった。

降りしきる雨、前半28分にFKのこぼれ球から南野の右足シュートは当たり損ねた。同35分には伊東が右サイドを突破し、絶好のクロスボールを送ったが、フリーの鎌田の右足シュートはまさかの空振り。同38分には再び伊東のクロスから浅野が頭で狙ったが、空を切った。そして前半42分には板倉の縦パスを受けた南野が冷静にボールをコントロールし、左足でゴールネットを揺らしたがオフサイドだった。

試合が動いたのは後半8分、チュニジアの縦パスに対応した吉田が相手選手を倒してPKを与えた。これを決められ、1点を追う展開となった。カバーリングに板倉が間に合っていただけに、連係面でのほころびが出た。

先に失点したことで、森保監督は同15分、浅野に代えて古橋亨梧、鎌田に代えて三笘薫を投入。さらに同25分に南野に代えて久保建英、伊東に代えて堂安律をピッチに送り込んだ。だが押し込みながら得点にはつながらない。

すると逆に後半31分、相手GKのロングボールが自陣ゴール前へ流れたところ、対応した吉田はGKシュミットのボールと判断したのか、スピードを緩めたところ、相手にボールを奪われ、そこから中へ折り返されたボールを決められた。さらにロスタイム、前がかりになったところでカウンターからダメ押しとなる3点目を奪われた。

意地を見せたい森保ジャパンだったが、得点が期待された三笘、久保、堂安もチュニジアの堅守を崩すことはできなかった。

くしくも20年前の2002年W杯日韓大会では、同じ「6月14日」に同じ「大阪」の長居スタジアムで行われた1次リーグ第3戦でチュニジアを2-0と下し、初の決勝トーナメント進出を決めている。そんな縁深い一戦で、この20年での日本サッカーの成長を示したい一戦だったが、攻守に課題を残した。

森保一監督は「勝てなくて残念したが、選手に責任はない。トライしてくれた」とたたえた。主将の吉田は「相手の強度が高かった。自分たちのミスで崩れた。悔しいです」と言葉を絞り出すように話した。4試合目というコンディション面があったとはいえ、前半の決定機を決め切れず、逆にPKによる失点から攻守がちぐはぐになった感は否めない。W杯へ多くの課題を残し、6月の活動を終えた。

チームは今後、7月19~27日に東アジア(EAFF)E-1選手権(日本開催=韓国、中国、香港参加)を国内組メンバーで戦い、9月に2試合を予定。W杯本番へ、登録枠26選手を懸けたサバイバルレースはまだまだ激化しそうだ。