初のW杯に臨む日本代表MF守田英正(27=スポルティング)が10日までに日刊スポーツの取材に応じ、武器の1つとする「ずる賢さ」などについて、語った。

強豪・流通経大からプロになり、川崎Fで成長し、欧州に渡って今季は欧州チャンピオンズリーグ(CL)でもプレー。欧州基準の「ずる賢さ」も身に付け、さらに成長。日本代表でも中盤の要となったボランチが抱くW杯への思いは-。【取材・構成=岡崎悠利】

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けが人続出の森保ジャパンで、守田はしっかり復帰してきた。3-0で勝った5日のギマラインス戦でピッチに戻ると、今季3点目をマーク。10月26日の欧州CL、トットナム戦で左ふくらはぎを負傷し2試合を欠場したが、復帰戦でゴール。最高のかたちで戻ってきた。ここから、「子どものころからの夢の舞台」と話すW杯に向けさらに調子を上げていく。

金光大阪高(大阪)から流通経大を経て川崎F入り。決してエリート街道ではなかったが、この4年で、大きく花開いた。25歳で海を渡り、ポルトガルのサンタクララで頭角を現し、今季強豪スポルティングへとステップアップ。いきなり主力として欧州CLデビュー。めざましい成長を遂げた。

新天地で、これまで以上に考えさせられたことがある。「ずる賢さ」について。アモリム監督からは「仲間が倒れていたら、主審にしっかりと主張しにいけ」と言われている。日本ではよく、抗議しないことで審判の印象をよくする、反則覚悟で削られても倒れないことが強さだと教わってきた。21年1月にサンタクララに渡ってから、欧州はまた文化が違うことを理解した。スポルティングに来て、「レベルの高い試合ほど、そういった細部が試合を左右する」と実感した。

W杯もそうだが、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR=ビデオ判定)が導入されて「マリーシア(ずる賢さ)」は影を薄めるかに思われたが、VARがあるからこそ、倒れないでいいところを倒れてみるという判断も、ずる賢さの1つになりつつある。いまや欧州で生き残るために欠かせないスキル。これは必ずW杯でも生きるはず。その経験を本にもしたためた。欧州の舞台を目指す選手たちに1人でも多く届いてほしいという思いがある。

W杯でも「審判や、VARとの向き合い方は非常に重要になると思う」と心に刻む。ずる賢さも武器に、「日本のみなさんに、驚きを与えたい気持ちでいっぱいです。勝ちます」。自信に満ちた言葉で、こう宣言した。

◆「ずる賢さ」という技術 日本人に足りないメンタリティ(守田英正著、幻冬舎、9日発売、税込み1650円)