U-22(22歳以下)日本代表が、来年4月にパリ五輪アジア最終予選を兼ねて行われるU-23アジア杯カタール大会にベストメンバーで臨むため、大岩剛監督(51)が海外組の招集を直訴するための欧州クラブ行脚を計画していることが28日、分かった。山本昌邦ナショナルチームダイレクター(65)と渡欧し、国際Aマッチデー期間外でも選手供出を受けられるよう交渉を開始する。日本協会は同日、来月の米国遠征でU-22米国代表、同メキシコ代表と対戦すると発表した。
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8大会連続となるパリ五輪出場へ、海外組を呼ぶ備えを進めておく。ベルギー1部シントトロイデンのGK鈴木彩艶やMF藤田譲瑠チマ、オランダ1部スパルタのMF斉藤光毅ら有望株が既に海を渡った中、アジア最終予選への選手派遣を要請するため各国歴訪を計画。関係者によると、早ければ来月の米国遠征後にも大岩監督、山本氏が渡欧する。手分けして日本人所属クラブを回り、来年の招集に向けて関係を構築する。
今月12日までバーレーンで行われたU-23アジア杯予選(五輪アジア1次予選)は、国際Aマッチデー(IMD)期間内のため問題なかった。歴代最多となる8人の海外組を招集。一方でIMD期間外の、来春のU-23アジア杯(最終予選)はクラブに選手派遣義務がない。国内も協力要請しつつ、特に海外からの招集難航が課題となっていた。
一昨夏の東京五輪は開催国として出場できたが、リオデジャネイロ五輪のアジア最終予選は同じくIMD外の16年1月に開催。当時も手倉森誠監督、協会の技術委員長らが事前に欧州で交渉し、ザルツブルクMF南野拓実やヤングボーイズFW久保裕也の招集に成功した。結果、優勝で五輪出場権を獲得した。反対に、夏の本大会では久保の招集が開幕49時間前に拒否されて1次リーグで敗退した。
悲劇は日本サッカー界の教訓となり、移籍条項に五輪出場を盛り込む選手も増えるなど、東京大会に生きた。パリは幸い、欧州組には移動距離が短く時差もない。クラブ側としても選手の価値が上がる可能性がある。その中で確実に最終予選への選手供出を受けるため、大岩監督が自ら、各クラブとの関係を密にする。