【ドーハ21日=佐藤成】U-23日本代表唯一の大学所属プレーヤーFW内野航太郎(19=筑波大)が、首位通過をかけた日韓戦の切り札になる。

22日はパリ五輪アジア最終予選兼U-23アジア杯カタール大会の1次リーグ第3戦韓国戦。両国が勝ち点、総得点、総失点全てが並ぶ状況で、勝った方が1位突破。引き分けの場合はPK決着まで行う「真剣勝負」となる。昨年9~10月のアジア大会決勝と3月の大学日韓定期戦で韓国相手に得点を決めている大学生ストライカーが、韓国キラーぶりを発揮する。

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名古屋、川崎Fなどで活躍した筑波大蹴球部テクニカルアドバイザーの中西哲生さん(54)も内野航の成長には舌を巻く。昨年3月20日のことをよく覚えている。チームにあいさつした初日に自分のもとに教えを請いに来たのが入学前の内野航と主将だったMF山内翔(22=神戸)の2人だった。「シュートのバリエーションを増やしたいです」。

独自の理論「中西メソッド」を惜しみなく伝えた。相手の出方を見てプレーを中断する「キャンセル」という概念や、DFが目の前にいる時のシュートパターンの整理、ワンステップで相手を外してシュートまで持っていく技術…。納得いくまで全体練習後の自主練習で吸収していった。「1年間でここまで言語化できて、再現性上げられたのは彼の努力」。特に冬には頭の重みを活用した高重心でのプレーを身につけ、トラップやポストプレーに磨きがかかったという。「より進化した」と目を細める。出国前には「日本を救ってきてくれ」と伝えた。韓国戦での爆発を信じている。【佐藤成】

◆五輪アジア最終予選出場の主な大学生選手 直近リオデジャネイロ五輪の予選には、明大DF室屋成が唯一の選出。ホームアンドアウェー方式だった12年ロンドン大会は流通経大のDF山村和也やDF比嘉祐介らがメンバーに名を連ねた。北京大会の最終予選は法大MF本田拓也、流通経大GK林彰洋。04年のアテネ大会では、早大DF徳永悠平、筑波大進学直前の国見FW平山相太が最終予選メンバーにいた。