サッカー女子W杯で初優勝を飾ったなでしこジャパンが、国民栄誉賞を授与されることが2日、政府から正式に発表された。大会MVPと得点王を獲得した主将MF沢穂希(32=INAC)は神戸市内で会見。「このような素晴らしい賞を頂いて光栄」と喜びを口にし、あらためて来年のロンドン五輪で恩返しの金メダル獲得を誓った。18日に首相官邸で表彰式が行われる。

 なかなか実感が湧かなかった。集まった約50人の報道陣の前に姿を見せた沢は、驚きまじりの表情で喜びの思いを口にした。「(受賞は)考えてもいなかった。想像もつかないです。なんだかビックリしてると同時に、このような素晴らしい賞を頂いて光栄です」。

 日本史上初のFIFA(国際サッカー連盟)主催の国際大会での優勝が、政府まで動かした。各界で活躍した著名な歴代受賞者たちの仲間入り。10代から日本の女子サッカーを支えてきた沢は「すごい方たちに名前を並ばせていただいて光栄です。この先もいい成績をしっかり残せるように頑張っていきたい」と、言葉をかみしめた。

 国民への恩返しはズバリ来年ロンドン五輪での金メダル獲得だ。沢は「9月のアジア予選をしっかり勝ち取らないといけない。(ロンドン行きの)切符を取って、五輪でも金メダルを取れるようにしたい」。W杯直後にも口にしたフレーズで“五輪でも絶対に金”の思いを胸の中に刻み込んだ。

 そんな思いはFW川澄奈穂美(25=INAC)も同じだった。「W杯の結果によって日本政府が頑張りを評価してくれたのはすごく光栄。サッカーで皆さんに感動と希望を与えることができたのは、本当に誇らしいこと」。さらに笑顔で「日本の皆さんが自分たちに声援を送ってくれたからこその賞。五輪の切符を取って金メダルを取りたい」と周囲への恩返しを誓った。

 男子はW杯が絶対的な舞台だが、女子ではA代表で臨む五輪をW杯以上に重要視する傾向がある。なでしこジャパンは08年北京五輪の4位入賞が最高。新たな歴史を刻むためにも、9月の五輪アジア最終予選(中国)は内容も結果も問われる。沢が引っ張るなでしこジャパンは、国民栄誉賞受賞の自信とプライドを胸にロンドン切符獲得に全力を注ぐ。【福岡吉央】