<15年12月、中東遠征>

 リオデジャネイロ五輪アジア最終予選に向けた最後の海外合宿。DF西野貴治やMF井手口陽介(ともにG大阪)、MF前田直輝(松本)の3人を追加した26人を招集。手倉森監督は「状態を見極めたり、組み合わせの可能性をさらに模索するため、通常より多いメンバーで活動させてもらうことになりました」と、異例の“3人増”を説明した。

 ▼国際親善試合(対U-22イエメン代表)0△0【得点者】なし

 当落線上の若手が試された。2トップに最年少19歳のFW鎌田大地(鳥栖)。国内合宿では評価された男が、前半12分にDFの裏へ抜けて右足シュートを放つ。しかしコースを読まれ「チャンスはあっても、GKとの駆け引きとか冷静にできない部分があった」。同44分の右足シュートも好セーブに遭った。

 後半開始からMF関根貴大(浦和)、FWオナイウ阿道(千葉)の20歳コンビら7人が投入された。オナイウは敵陣でボールを奪い、フリーでシュートを放つなど、積極性を見せたが不発。「自分が決めれば勝っていた。中東相手にフィジカルは通用したけど…」。交代無制限のため計22人をテストするも、精度の低さを露呈した。

 ▼国際親善試合(対U-22ウズベキスタン代表)0△0【得点者】なし

 現状のベストメンバーで臨み、2トップは、ともに父親が外国籍の鈴木武蔵(水戸)とオナイウ。スピードの鈴木と高さのオナイウでチャンスをつくったが、決め切れずに前半だけでオナイウは交代した。

 後半に入ると、鈴木のクロスバー直撃やMF矢島慎也(岡山)の右ポスト直撃など惜しいシュートが続くも得点は奪えなかった。

 新戦力の海外でのテストとした中東遠征。関根や鎌田らフレッシュな人材を起用するも、格下相手に勝ちきれず、不完全燃焼に終わった。手倉森監督は「鎌田やオナイウの良い部分も見られたけど、国内の試合より精度が落ちる感じもした。全員がこの結果に危機感を持ってもらわないと」と話した。

 帰国便は、偶然にもバドミントンで世界一になりドバイから帰国した桃田賢斗(21=NTT東日本)と奥原希望(20=日本ユニシス)と重なった。到着ロビーに約10台のテレビカメラが集結していたが、U-22日本代表を追っていたのは1台だけと、結果を物語る悲しい帰国になった。