鹿島アントラーズの日本代表DF昌子源(24)が、W杯アジア最終予選イラク戦(テヘラン)で先発フル出場した自信を胸に、北海道コンサドーレ札幌戦でチームを3-0の勝利と暫定4位浮上に導いた。14日夜に帰国後、中2日で迎えた疲れを感じさせずに完封。大岩剛監督就任後2連勝としたが、連覇に向けた夏場の戦い方に満足感はなし。カウンター攻撃偏重での体力消耗と、後半無得点に終わった攻撃陣に苦言も呈した。

 DF昌子が日本代表センターバックの風格を見せた。気温40度近いテヘランから、カシマの夜は20度。「代表よりプレッシャーを感じなかった。余裕の気持ちもあった。テヘランより暑くなかったので動けた」。前半は相手シュート2本に封じ、ロングボールが多くなった後半も頭ではね返し、DFラインも統率した。

 約2カ月ぶり先発のGK曽ケ端の好セーブ連発にも助けられたが「帰ってきたばかりで(大岩)剛さんになってのチームの違いは正直分からない。間違いなくプラスに進んでいるのは失点しなかったこと」。1カ月半ぶりの完封勝利にも、笑顔はほとんどなかった。

 DF山本の開始1分15秒弾に続き、15、30分にはFWペドロ・ジュニオールが連続ゴール。前半はカウンター攻撃でシュート4本中3本を決めながら後半は無得点。土居、遠藤、金崎が決定機を外したことに加え、カウンターばかりの攻撃に昌子は「連覇するためにも得失点差が少ない。6、7点とれるチャンスはあった。試合は90分で考えないと。若いメンバーだけじゃない。(小笠原)キャプテンは38歳ですから」と問題視した。DFとしてボランチを含めた上げ下げが、疲労から完全でなかったことも夏場の改善点に挙げた。

 クラブW杯やJでの活躍に、自身はドイツ1部ブレーメンなどから興味を示されている。4日の広島戦も視察に来ていたが「日本代表でレギュラーをつかんでから海外とかは考えたい。クラブでも去年だけの成績だけじゃ納得できない」と本音も漏らす。代表では次戦オーストラリア戦への手応えは得た。クラブでの最大目標だったACLは敗退しただけに、J1連覇だけは譲れなくなった。

 大岩新体制後、2連勝。なかなか勝てなかったホームでも、勝利をつかんだ。首位柏との勝ち点差も4に縮めた。「監督とも、このまま勝ち続けないとダメだという話をしている」。石井前監督もスタンド観戦した本拠で、代表帰りの成長は披露した。【鎌田直秀】