東京ヴェルディMF安西幸輝が(22)が、ここ2年、鍛錬を重ねた左足でのスーパーゴールで、V・ファーレン長崎から決勝ゴールを決めた。

 1-1で迎えた後半15分。安西は右サイドから仕掛けると、MF内田達也(25)とのワンツーから抜け出し、内側にカットインしてDFを1人かわして左足を振り抜いた。ボールがネットに突き刺さると、安西はジャンプして力強く拳を突き上げた。「ドリブルのコースが空いた。DFを1人かわして蹴った。コースが良すぎた。入って良かったです」と喜んだ。

 縦の強烈な突破が売りで、プロデビューした14年に右サイドバックで開幕スタメンを飾った。その後は左サイドバック、攻撃力の高さから左右MFとしても起用されるなど、ユーティリティープレーヤーとして東京Vには欠かせない存在となった。

 一方で、持ち前の縦突破が研究され、プロ2年目以降、難しさを感じていた。「武器をもう1つ作れ」と指導陣から言われ、中にカットインして左足でシュートを打つ形を思い立ち、2年前から練習を始めたが、なかなか決まらなかった。

 チームは7戦ぶりに勝った11日のロアッソ熊本戦で、布陣を3-4-3から4-3-3に変え、安西は右MFから、さらに1列前の右FWとして起用されるようになった。「今季は左右サイドバック、MFもやっている。ポジションによって景色が違う」と起用に応じて自分の立ち位置を考えながらプレーしてきた。

 FWとして起用される段階で、3トップを組むブラジル人のドウグラス・ヴィエイラ(29)、アラン・ピニェイロ(25)のプレースタイルを考えたという。「あのポジションで、ドリブルで仕掛けられる選手と考えると、ドウグラスもアランも少し違う。2人と組む時は無理にでも突っ込む」という姿勢を貫いたことで、約2年練習してきたカットインからの左足シュートが大事な場面で、ようやく火を吹いた。「前からやって、1つも入っていなかった。実ったのかな」と笑みを浮かべた。

 逆サイドの左MF、DFの安在和樹は名字の読みが同じで漢字が違い、年も1つ違いからか「すごく意識している」という。この日で今季のリーグ戦のゴールは3点で並んだ。安西は「負けないように稼げるだけ稼ぎたい」と笑った。【村上幸将】