横浜F・マリノスが0-0でヴィッセル神戸と引き分け、4戦連続無失点となった。DF中沢佑二(39)が守備陣を統率し、神戸FWルーカス・ポドルスキ(32)を来日5戦目で初めてシュート0本に抑えた。2位浮上のチャンスこそ逃したが、中沢は06年5月30日の国際親善試合、日本-ドイツ戦以来、11年ぶりの対戦となった元ドイツ代表に仕事をさせなかった。

 J1最少失点を誇る横浜の堅守を統率する中沢が、世界的ストライカーをのみ込んだ。空中戦ではことごとく競り勝ち、後半18分には前線へのスルーパスを読み切ってインターセプト。同35分にペナルティーエリアわずか外、中央でポドルスキに渡ったが、指示を受けた中盤の選手が詰め、シュートを打たせない。同36分に退くまで、相手エースは横浜の選手や審判、チームメートと、四方八方に当たり散らすしかなかった。

 試合後は「なんかずっと怒ってましたね」と冷静さを失わせることに成功し、してやったりの表情を見せた。実はドイツW杯直前の国際親善試合以来、2人の対戦は11年ぶり2度目だった。前回は中沢が28歳、ポドルスキは20歳。「あの時のドイツはクローゼ、バラック、シュバインシュタイガー…。すごい選手ばかりだった」と、注意すべき相手がポドルスキだけではなかったと振り返る。それでもW杯目前のドイツと敵地で2-2と引き分けた。この日も引き分け、再び決着はつかなかったが「みんな守備の意識が高かった。上位と対戦した時もこれを維持できれば」と、クラブ新記録の4戦連続完封勝ちこそ逃したが、守備の安定感が増していることを実感する。

 試合前には「シュート、パスの技術はJリーグで一番。やっぱり世界と戦ってきた選手」と評していた。そんな警戒していた相手を、これ以上なく完璧に抑えた。「優勝を目指すためにも、勝ち点3を積み上げていきたい」。守備への自信と優勝への決意を、確かに手にした引き分けだった。【高田文太】