川崎フロンターレの鬼木達監督(43)は、現役時代の古巣・鹿島アントラーズをかわして監督就任1年目で初優勝を決めた。「1年目だけど関係なく…フロンターレの歴史が動きだした」と、声を震わせながら胸を張った。

 今季について聞かれると「いやぁ…もう、本当に苦しいシーズンでしたけど今年1番、悔しい思いをしたチーム。最後にプレゼントが転がってくればと思った」とかみしめるように語った。アジア・チャンピオンズリーグ準々決勝、ルヴァン杯決勝で散ったことが無駄ではなかったことをにじませた。

 この日は選手に「サポーターのため、ピッチに立てないメンバーのためにも、プライドを持って戦え」と声をかけてピッチに送り出したという。「ここまでくれば、疲れとかは関係ない。最後の最後に点を取るところで、自分らしさを出してくれた」選手をたたえた。

 監督就任1年目だが、川崎FのJリーグの歴史を、クラブとともに歩んできた。1997年(平9)に鹿島からJFLの川崎Fに移籍し、99年に復帰も00年に川崎Fに戻り06年に引退。翌07年から川崎Fの下部組織で指導者人生を歩み、10年にトップチームのコーチとなった。2位が続き“シルバーコレクター”と呼ばれたチームの悔しい歴史を肌で知る指揮官だからこそ、最後の最後で優勝を勝ち取れたと言っても過言ではないだろう。

 鬼木監督は「選手が本当に我慢強く戦ってくれた。最後、ホームで決められたのは最高…最高です。皆さんのおかげで勝つことが出来ました」と涙目でサポーターに感謝した。【村上幸将】