Jカムバックで目指すは世界-。札幌出身の元Jリーガーで仙台大のMF山田満夫(23=帯広北)が13日、高校卒業後に1年間在籍したJ2松本と、5年ぶり2度目のプロ契約を結んだ。この日、大学最後の大会に臨み、1回戦で延長戦の末2-3で環太平洋大に惜敗。試合後にJ復帰が決定した。来年のJ2開幕戦ベンチ入り、日本代表入りしての世界進出を目標に、新たな1歩を踏み出した。

 延長を含めて120分走りきり、仙台大の背番号10・山田が大学生活を締めくくった。ボランチから前線にボールを配球し、好機を演出した。1対1の後半14分。「狙いどおり」(山田)GKの飛び出しづらい位置を狙った右CKは、ゴール前で相手選手のファウルを誘発。勝ち越しPKにつながった。再び追いつかれ、延長で力尽きた。「自分のプレーはどうでも良かった。お世話になったチームのために、今日は勝ちが欲しかった」と唇をかんだ。

 試合後、観戦した松本の関係者から契約書を受け取り、約束の場所に戻ることが決まった。5年前、高卒で入団した時はスピードについていけなかった。「ひと回り大きくなって帰ってこい」。1シーズン終了後にクラブから背中を押される形で退団、進学した。

 教員免許取得に必要な単位を取得する一方で、1年目からサッカー部の公式戦に出場した。3年秋にJ1仙台の特別指定選手となった。Jリーグ公式戦未出場ながら、練習参加を通じてレベルを上げた。「あのまま松本に残っていたら、こんな経験は積めなかった。送り出してくれたチームと大学に感謝」という。

 年明けにプロサッカー選手として2度目のスタートを切る。クラブのJ1昇格が当面の目標になる。「今度は行けるところまで行きます。日本代表ももちろんですが、伊藤壇さんのような生き方もあこがれ。ボール1つを持って、世界を駆け回りたい」と語る。同じ札幌生まれで、仙台大を卒業、現在もアジアの国々を渡り歩く先輩の後ろ姿を追い、再出発する。

 大学最後の試合から2時間後、山田は“旧天地”に臨む自分をイメージし、武者震いした。「開幕ベンチ入りが、4年間お世話になったみんなへの恩返し。必ず試合にからんで、成長した自分を見せます」。UターンJリーガーが、逆襲のピッチで躍動する。【中島洋尚】

 ◆山田満夫(やまだ・みつお)1994年(平6)5月26日、札幌市生まれ。札幌北陽小2年の時に、FORZAでサッカーを始める。札幌北陽中3年冬に1カ月のスペイン留学を経験。帯広北高3年では総体、選手権とも道大会4強。13年にJ2松本山雅加入。14年から仙台大。昨年8月に全日本大学選抜・台湾遠征メンバー選出。同9月からJ1仙台特別指定選手。位置はボランチ。家族は両親と妹。174センチ、67キロ。