横浜F・マリノスのエリク・モンバエルツ監督(62)は、セレッソ大阪に敗れた決勝戦の会見で、来季で現役を終える意向を示している、元日本代表DF中沢佑二(39)をたたえた。

 「プロとしてモデルになる選手。彼のようなすばらしい選手と出会えたことは私にとって幸運。最後の1年と彼はいっているが、私は、もっともっと続けられると思う」と来期以降の現役続行を勧めた。

 モンバエルツ監督は、今季限りでの退団が決まっていることから、質疑応答の中で「最後だから聞きたい」と中沢について質問が飛んだ。同監督は「彼は1回もトレーニングを休んだり、抜けたことがない。(監督が指揮を執った)3年間、全ての試合に出場している。特別な存在ですね。そして、彼は年齢がいっている(年齢を重ねている)にもかかわらず、ロスタイムでも私の要求に応えようと、まだ成長している」と絶賛した。そして「ボンバー(中沢)がマリノスに与えてくれた影響に対し、ブラボーと言いたいし、感謝に気持ちを伝えたい」と賛辞を繰り返した。

 決勝では、前半8分にFW伊藤翔(29)のゴールで先制も、その後、C大阪に押し返され、2失点で逆転負けした。

 モンバエルツ監督は「前半15分までは試合をコントロールし、ゴールを決めた。その後、これもシーズン、何度かあったことだが、得点した後、相手にボールをコントロールされ、自分たちが下がる展開になり、ゲームをコントロール出来なかった」と振り返った。

 延長後半に1点リードを許した後、猛攻を仕掛け、あわやゴールという場面を何度か作った。「我々も決定機があったが…C大阪に運もあったのかな? それもサッカーの1つ。C大阪のいい守備を崩すだけの、いい攻撃、連動性、パス回しのスピードが遅く、ボールを失うことも多くゲームをコントロール出来なかった」と敗因を冷静に分析した。

 3年間、指揮を執ったが、タイトルにはあと一歩、とどかなかった。横浜に残せたものは? と聞かれると「あるプレーモデルを落とし込もうとやってきたが、3年目で形になってきた。来年以降、さらに高い質のものになってくれるのではないか?」と期待した。

 後任には、前オーストラリア代表監督のアンジェ・ポステコグルー氏(52)の就任が決まっている。モンバエルツ監督は「多くの若い選手が成長した。若さが伸びたことが1番、重要。もちろん、試合に勝とうとすること…そのために、いいプレーをする姿勢を残せたのではないかと思う。今の方向性を、ぜひ続けて欲しいと思う」と語った。【村上幸将】