浦和レッズFW李忠成(32)が、サンフレッチェ広島戦の後半31分に、前節9日の名古屋グランパス戦に続く2戦連続ゴールを決め、チームを首位突破に導いた。試合後「李はまだ死んでない…生きている。いいプレーが出来るんだぞと見せたい」と心中を吐露した。

 李は、ミックスゾーンに現れなり「PKを外してしまった後に、俺が絶対に点を取るんだとゴールに向かった結果、点を取ることが出来た。結果良く終われて良かった」と笑顔を見せた。後半23分、自ら志願して蹴ったPKをGK林卓人に止められた。「GKのいった(動いた)方に蹴ってしまった。プロサッカー人生で外したの、初めてくらい。外す時もあれば決める時もある」と苦笑した。

 PK失敗後の後半27分、MF遠藤航に代えて青木拓矢を投入した選手交代に、オズワルド・オリベイラ監督(67)からのメッセージを感じていた。

 李 選手交代のところで「先発したヤツが自分でケツふいて戻ってこい」という、オズワルドのメッセージだと受け取った。応えられて良かったしチームを助けられて良かった。

 後半31分のゴールシーンは、キュラソー代表MFマルティノス(27)がペナルティーエリア手前で広島DFにプレスをかけて奪ったボールを、DFが迫る中で拾い、2人に寄せられながらも左足で決めた。「ゴールに、ゴールに…と向かう姿勢、後ろ向きじゃなく前に向かう姿勢でゴールを目指した。次はPKも決めて試合中も決めて貢献したい」。PKを失敗し、絶対に決めるとゴールに迫った、覚悟の1発だった。

 17年は腰痛で終盤に離脱するなど、不本意なシーズンを送った。今季はルヴァン杯こそ6戦全てに出場し、うち5戦に先発も、リーグ戦は8試合に出場も全て途中出場で、総出場時間は84分と1試合にも満たない。その中、ルヴァン杯で2戦連発し「体調は100%。腰が痛いといっても2カ月くらい。試合勘もルヴァン杯で積めたので、すごくいい感じ。コンディションがいいから、シュートも強いのが蹴られる。感覚がいいから、あそこもスパンと振り抜けたと思う」と復調を強調。そして、思いの丈を吐露した。

 李 ここ10カ月くらい、試合に出られていない中で、この2試合もそうだし、李はまだ死んでいないぞ…まだ、あいつは生きている、李はいいプレーが出来るし、点を取るんだぞというところを僕自身、そしてサポーターにも見せられた。うれしい。このまま行けば点はスパスパと取れる。Jリーグで結果を出したい。

 6月2、9日に戦うプレーオフの相手は、J2のヴァンフォーレ甲府に決まった。そのことについて聞かれると「Jリーグでスタメンで出られていないので今日、ここで負けて敗退したら1試合、2試合…1分でもチャンスがなくなってしまうところがあった。自分の輝けるチャンスを切り開けたのが、すごく大きかった」と悲壮感すらにじませた。その上で、口にした言葉に、覚悟がにじんだ。

 李 奮起の気持ち、負けん気は持っている…サッカー選手だから。

 李の逆襲の夏は、始まったばかりだ。【村上幸将】