前節、大分トリニータが京都サンガに2-1で勝って連勝を5に延ばし、2戦連続で引き分けた松本山雅FCと勝ち点66で並び、得失点差で上回り首位に立った。

台風の影響で2試合消化が少ないFC町田ゼルビアも、松本と同じく2戦連続引き分けで勝ち点4差の3位のまま。4位アビスパ福岡も引き分け、町田との1差は変わらなかった。大宮アルディージャが2戦ぶりに勝って5位に浮上し、ヴァンフォーレ甲府に敗れて無敗が7で止まった6位東京ヴェルディ、7位の横浜FCの3チームが、福岡と1差の勝ち点60で並んだ。ツエーゲン金沢に6試合ぶりに敗れた8位徳島ヴォルティスと5~7位グループとの勝ち点差は6となった。

今節の注目カードは、大分がアウェーで町田と戦う上位直接対決だ。大分は過去、リーグ戦で町田と5回戦い、17年8月11日のホーム戦に1-3で敗れたのが唯一の敗戦で、通算成績は3勝1分け1敗。アウェーでも1勝1分けと負けたことがない。4月28日のホーム戦では、FW馬場賢治の3発で4-3の激しい撃ち合いを制した。一方の町田は、1日にサイバーエージェントの子会社になることが決定後、初の試合となった7日のモンテディオ山形戦は、藤田晋社長が見守る中、ホームで悔しいスコアレスドローに終わった。今回は意地でも勝ち点3が欲しいところだが、リーグ戦30試合に出場しているDF大谷尚輝を出場停止で欠くのが痛い。

松本はアウェーで11位の金沢と対戦する。金沢には、公式戦での初対戦となったJFL時代の10年4月11日のアウェー戦に1-1で引き分けて以降、天皇杯も含め公式戦9連勝中で1度も負けたことがない。5月12日のホーム戦でも、MFセルジーニョの2発などで5-0と大勝した。大分と町田が今節“つぶし合い”をするだけに、しっかり勝ち点3を積み上げたいところだ。

福岡はアウェーで10位のレノファ山口FCと対戦する。公式戦初対戦となった16年9月の天皇杯2回戦でPK負けして以降、リーグ戦は3戦全勝。4月のホーム戦でも、攻撃のタクトを握るMF鈴木惇の2発で2-0と快勝した。町田-大分の結果次第で、町田をかわして3位に浮上できる可能性もあるだけに、後半戦で新たに主将に指名された鈴木の、高精度のキックに期待がかかる。ただ前節、MF高木大輔の1ゴール2アシスト、20得点の大台に乗せる1発を決めた、FWオナイウ阿道のゴールなどでFC岐阜に4-1で大勝した、山口の攻撃力は脅威だ。

大宮はホームで16位栃木SCと対戦する。公式戦で初めて対戦し、4-0で勝った03年の天皇杯2回戦を含め過去4戦全勝。5月のアウェー戦では、17年7月に栃木に完全移籍したFWネイツ・ペチュニクを封じて1-0で勝ったが、ペチュニクは家庭の事情で退団。手の内を知るペチュニクはいないが、同戦を含め、直近のリーグ戦2試合はいずれも1-0で辛勝しており、油断は禁物だ。

今季も、残り6試合となった。昇格、残留の争いも例年以上に激しい中、1プレーやディティールが運命を左右する。その明暗が、はっきり分かれたのが前節だ。上位陣が軒並み引き分けた中、勝った大分は京都に前半6分先制を許したが、同13分に思わぬ形で追いついた。京都DF本多勇喜が、スローインしたボールをGK清水圭介に戻したが、その折り返しが体に当たり、こぼれ球となった。そこを逃さず拾った大分MF小手川宏基が、左足で流し込んで同点。小手川は後半21分には決勝弾も決めた。

一方、愛媛とホームで0-0に終わった松本は、愛媛の7本を上回る22本のシュートを放ち、FW高崎寛之も再三、決定的なシュートを放ちながらゴールを割ることが出来なかった。前半43分にはセルジーニョがPKを蹴ったが、GK岡本昌弘に止められた。結果、大分と松本は勝ち点で並び、得失点差で大分が首位に立った。

町田-大分の“つぶし合い”の結果が、上位戦線の行方を左右するのは間違いない。