メルボルン・ビクトリー(オーストラリア)のMF本田圭佑(32)が鮮やかな“凱旋(がいせん)ゴール”を決めた。アウェーの広島戦(Eスタ)に先発出場。クラブの一員としては12年ぶりとなった日本のピッチで、後半26分に得意の左足で決めた。チームは1-2で敗れ、2戦勝ちなしとなった。

本田らしく結果で存在感を見せつけた。中盤から右サイド深くへボールが渡るのを見るや、全速力でゴール中央へ進入した。DFルーのクロスにスライディングしながら左足をダイレクトで合わせ、ゴール左へ蹴りこんだ。

「あの5分間くらいトップ下になって、ほぼボールに触れていなかったので。しびれをきらしたタイミングだったので、くると信じて信じて走った」

すぐに立ち上がり、平然とした表情で自陣へ戻った。祝福に集まるチームメートに見せた、あくまで逆転を目指す姿勢。「ついてこい」と言わんばかりのリーダーの背中だった。

国内での得点は、日本代表としてW杯アジア最終予選UAE戦で決めた16年9月が最後。クラブでの試合に限れば名古屋時代の07年9月15日のJ1鹿島戦以来、4196日ぶりとなった。それでも敗戦という結果に「勝ちにきたので、実現できなかった言い訳はできない」と満足はなかった。

W杯ロシア大会後の新たな挑戦として、ゴールに定めたのが20年東京五輪出場。くしくもこの日は開幕まで500日の節目。オーバーエージでの出場へ「ケガなくやれれば絶対に出られる、本当にメダルをとりにいけるというプロジェクトで動いている」と、力強く語った。「この年齢になっても成長できる部分を見つけている。現状維持じゃなく、向上する自分を見せたい」。自ら目標を口に出し、迷いなく突き進む姿勢は変わらない。有言実行を予感させる1発だった。【岡崎悠利】