川崎フロンターレのFW小林悠(31)がアウェーでのFC東京戦で、史上14人目のJ1通算100得点を成し遂げた。

大卒選手の大台達成は中山雅史、藤田俊哉に次いで3人目。エースのメモリアル弾もあり、川崎Fは首位東京に3-0で快勝し、直接対決で勝ち点差を4に詰めた。湘南はホームで神戸に3-1で逆転勝ちした。

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負ければ3連覇が遠のく大事な試合で先制点を決めたのは、やはりこの男だった。小林が前半20分、左CKを頭でズドン。J1通算100得点の大台に乗せた。大卒選手では中山、藤田に続く3人目の快挙だ。「記録より勝ちたい気持ちが一番だった。チームを勝たせられる点になったことがうれしい」と振り返った。

度重なる負傷を糧に変えてきた。拓大時代は関東2部で3年時に得点王に輝き「自分で言うのもなんですけど、けがの前はうまい系のドリブラーだった(笑い)」。だが4年で右膝前十字靱帯(じんたい)断裂の大けがを負い、プロ入り後もトラップなどの感覚にズレを感じていた。その中で意識したのが代名詞でもある「動きだし」だ。

「僕は身長も高くないしスピードもない。その中で生き残るためにはどうしたらいいか」。12年に風間八宏監督(現名古屋監督)が就任すると、再び足元の技術に向き合いボールをもらう前の動きで相手を外すなど、フリーになる動きを意識するようになった。司令塔のMF中村にも遠慮なく「今のタイミング、遅いです」など要求を口にした。「けがをして動きだしを覚えて、さらに風間さんで技術に対する意識が変わった。けがも今はすべてプラスになっている」。

FWジュニーニョ、大久保と先輩ストライカーの背中を見て「自分もチームを勝たせられる存在になりたい」と誓って10年。自身の記念弾に加え2点目もアシストしチームを勝利に導いた。小林が得点した試合は66勝15分け6敗。小林は「ゴンさん(中山)の156点には届かない。膝がもたない」としながらも「やるからには、できるだけ取りたい。僕が決めればチームは負けないので。チームを勝たせることを考えていきたい」。3連覇へ向けエースと川崎Fのギアが上がってきた。【岩田千代巳】