クロアチアのラストプレーの歓喜を止めたのは、ボールの中に埋め込まれた小さなセンサーだった。

1点を追う後半追加タイムの目安10分を過ぎた最終盤、クロアチアは左からのクロスをMFマリオ・パシャリッチ(31=アタランタ)が中央へ折り返し、DFグバルディオル(24=マンチェスター・シティー)が押し込んだ。

だが、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の確認で得点は認められなかった。

焦点は、その直前にクロスへ競り合ったFWマタノビッチ(23=フライブルク)がボールに触れたかどうかだった。マタノビッチが頭で触れていれば、その先でボールを受けたパシャリッチはオフサイドとなる。肉眼では判別が難しいわずかな接触だった。

結論を導いたのが、国際サッカー連盟(FIFA)が採用する「コネクティッド・ボール・テクノロジー」だった。ボール内の小型センサーが毎秒500回のデータを取得し、接触の瞬間に生じる微細な振動を検知する。

中継でも波形が示され、主審は映像確認の末、オフサイドを宣告。クロアチアの同点弾は幻となった。

得点取り消しが決まると、クロアチア側には落胆が広がった。主審の近くにいた主将モドリッチ(40=ACミラン)は苦笑いを浮かべ、判定を受け入れるしかなかった。ダリッチ監督は試合後、「サッカーはフェアであるべきだが、VARは行き過ぎている。サッカーの楽しさ、感情が殺されてしまう」と悔しさを口にした。