奇跡の下克上昇格へ好発進した。

6位のJ2モンテディオ山形は前半に守備陣が踏ん張り0-0で折り返すと、後半28分にオウンゴールで先制。同37分にはFW山岸祐也(26)が追加点を挙げ、アウェーで3位大宮アルディージャを2-0で撃破した。昇格には3戦連続アウェーかつ90分以内の勝利が必須条件だった第1次難関を突破し、4位徳島ヴォルティスが待つ8日のプレーオフ(PO)2回戦に進出した。

   ◇   ◇   ◇

モンテに「2代目山の神」が降臨した。昇格への切り札として8月に岐阜から途中加入した山岸が、1849人(広報発表)の山形サポーターを歓喜させた。1-0の後半37分、MF柳のサイドチェンジからMF山田が頭で折り返し。山岸は1度マイナスに入ってから動き直し、右足で冷静にネットを揺らした。「(前半は)DF陣が0-0で頑張ってくれて、(後半に)チャンスが来ると思っていた。山形は1年間、ワイドの選手を置き(外に)振って(中に)入るというのを練習からやっているので、それがハマった」と振り返った。

試合を数日前に控え、木山監督から「途中出場から試合の流れを変えてほしい」とのミッションを授けられ、結果で応えた。PO進出へ負けられない11月16日のアウェーのレノファ山口FC戦でも0-2の窮地からハットトリックでチームを生還させるなど、ここぞの場面で勝負強さを見せる。

5年前に昇格した際のPO準決勝。ロスタイムに決勝ヘッドで勝利に導いたGKの山岸範宏氏(41)が“山の神”とたたえられた。「あのヘディングは見ていたし印象的だった。山形に入り同じ名前でPOというのは奇跡的というか、その中で活躍して第2の山の神になれたらいい」と“2代目”襲名に意欲を見せる。「次もアウェーで勝たないといけないのは変わらない。自分たちからアグレッシブに試合をしたい」。

木山監督は「前半に1点取れれば良かったが、最悪スコアレスで、後半に勝負をかけると共有していたので、そこでパワーを使って1点取れたのは大きかった」。3月2日の第2節に敗れて以降、NACK5スタジアムで18戦無敗だった大宮を止めた。次戦は、後半戦で12戦無敗を記録した徳島。それでも山形は9月7日に13戦無敗だった首位柏レイソルをアウェーで止めるなど、波に乗る相手にめっぽう強い。J1へマジック2。チーム一丸で再び下克上を巻き起こす。【山田愛斗】