青森山田の“7番”MF安斎颯馬(3年)が、ハットトリックでチームを3年連続の決勝に導いた。前半16分に左サイドから思い切ったシュートで先制点を決めると、後半1分には味方シュートのはね返りをボレーで、同29分には右クロスから右足で決めた。右指を3本立てて、満面の笑みでハットトリックをアピール。注目を集める2年生エースMF松木玖生(くりゅう)に負けじと、選手権の舞台で輝きを放った。

前年度の主将、浦和MF武田から背番号10を受け継いだのは、1学年下の松木だった。安斎は「どっちが(10番を)付けるか分からない状況だった。付けたい気持ちはあったけど、プレーで目立てばいい」。自身は7番を託されて「山田の心臓は自分と玖生。玖生は注目を浴びてマークもキツい中、重圧と闘っているのでサポートしたい」と、思いを結果で表した。

J1東京の下部組織からU-18に昇格できず、青森山田に進学した。準優勝した前回大会は先発出場ゼロに終わったが、新チームで臨んだ夏のスーパープリンスリーグ東北では、5試合13得点と成長を見せて得点王に輝いた。刺激になったのは、やはり松木の存在。「一番良いライバル。玖生が点を取ったら悔しいし、逆に自分が点を取ったら玖生が悔しい表情をする。刺激し合って成長できる関係」と、2人で切磋琢磨(せっさたくま)してきた。

無観客での決勝に、安斎は「テレビ越しでも、保護者や青森にいる仲間に感謝を届けたい」と話す。背番号7の誇りを胸に、頂へ駆け上がる。【杉山理紗】

▼ハットトリック 青森山田の安斎が準決勝の矢板中央戦で3得点。ハットトリックは今大会3人目だが、準決勝以降に達成は18年度の尚志FW染野唯月(現J1鹿島)が準決勝青森山田戦で記録して以来。18年度の尚志はPK戦で敗れており、ハットトリックを達成してチームが決勝進出は07年度の準決勝津工戦で流通経大柏FW大前元紀(現J2群馬)が4得点して以来13大会ぶり。その前は03年度の国見FW平山相太(元J1仙台)で、準決勝の滝川二戦でマーク。