J2アルビレックス新潟のMF大本祐槻(27)がサイドを切り裂く。17日は聖籠町での練習に参加。ミニゲームや攻撃練習では、得意のドリブル突破から好クロスや強烈なシュートを連発して存在感を示した。次節(21日)ザスパクサツ群馬戦が行われる正田醤油スタジアムは、昨シーズンの開幕戦で大本が新潟デビューを飾った地。今季ここまで公式戦5試合の出場にとどまるスピードスターが鬱憤(うっぷん)を晴らすべく、推進力を生かしてゴールに迫る。

残り3試合で自らの存在価値をピッチで示す。この日の全体練習後、約1時間の筋トレを終えた大本の表情に迷いはなかった。「残り試合、どんどん(ドリブルを)仕掛けて勝負を決める仕事に徹したい。昨年の終盤戦は負け続けて後味が悪いものとなった。今年は連勝して終えたい」と語気を強めた。

昨季は負傷離脱がありながらも23試合に出場。だが今季は天皇杯2試合を含めて、公式戦出場は5試合のみ。「悔しい思いもしたし、落ち込んだ時期もあった。それでも多くの声援、チームメート、家族が支えてくれた」。出番が回って来ない時でもコンディション調整は手を抜かず、居残り練習ではドリブルからのクロスやシュート練習を繰り返した。「選手として、人間として成長できた1年だった。だからこそ恩返しのためにも残り3試合で結果を残したい」。

チームメートから「もっちゃん」の愛称で呼ばれる愛されキャラはピッチを離れれば一家の大黒柱。昨年6月に誕生した長男はすでにサッカーに夢中で「家でも公園でもとにかくサッカー。たぶん運動神経がいい。めちゃカワイイ」と父の顔を見せる。オムツ交換や入浴などを積極的に育児を行う「良きパパ」だ。

次節群馬戦の会場となる正田醤油スタジアムは、昨季の開幕戦で大本が新潟デビューを果たした思い出の場所の1つ。「昇格はなくなったが、ファンの方が何かを感じてくれるプレーをして勝利に貢献したい」と力を込めた。【小林忠】