高円宮杯U-18サッカープレミアリーグ2021プレーオフが10日、広島で開幕した。プリンスリーグ北信越を制した帝京長岡は勝てば初昇格が決まる12日の決勝戦に登場する。この日1回戦が行われ、対戦相手は桐生第一(群馬)に決まった。これまでプレーオフでは3度(16、17、19年度)Jクラブユースに敗れ、涙をのんだ。重要な一戦に闘志を見せるのは超攻撃的サイドバック(SB)の佐々木奈琉(3年)。スピードを生かした攻め上がりでチャンスをつくり、勝利に導く。

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パスを受ける前に佐々木は顔を上げる。「いかに得点のにおいがする場所に入って行き、攻撃に厚みを出せるかを考える」。攻撃時、SBの位置からコート全体を見渡してパスを送るか、空いているスペースに飛び出して自らシュートを放つのかを判断する。プレミアリーグ初参入を懸けた戦いは、全国高校総体準優勝の米子北を破った桐生第一が相手となった。「自分の代で帝京長岡の新たなページをめくりたい。勝つ自信はある」。

スピードに乗った状態でパスをもらった佐々木はファーストタッチで相手を置き去りにして、自分に有利な状況に持ち込む。4日に行った大学生との練習試合ではサイドをぶち抜き、単独突破からゴールを奪った。「今年はより攻撃参加に重きを置いて取り組んできた。手応えはそこそこあります」。右サイドでコンビを組むMF広井蘭人(2年)とは抜群の連係を見せる。「蘭人とは何も言わなくても通じ合っている部分がある。信頼して思いきり(スペースに)飛び出せる」とニヤリと笑う。

高校入学当初はFWでプレーしたが、1年夏に古沢徹監督(36)の提案でSBへコンバートされた。特長であるスプリント力を磨きながら肉体改造にも着手。自重での筋トレと1日5食の食事で体重を55キロから62キロにアップさせた。「90分通して上下移動できるし、当たり負けしなくなった」。レギュラーを勝ち取って臨んだ昨冬の全国選手権は全4試合にフル出場。2年連続となる4強入りに貢献した。「全国を相手にすると個人、チームのレベルを確認できる。だからこそ、プレーオフは勝ち上がりたい」と力を込める。

帝京長岡はこれまで3度、プレーオフで敗れ、昇格を逃している。「来年以降、後輩たちには高いレベルで戦い、さらに成長してほしい。選手権前に1つ目標を達成した」。チームの悲願を達成し、初優勝を狙う全国選手権に弾みをつける。【小林忠】

◆佐々木奈琉(ささき・なる)2003年(平15)7月13日生まれ、石川県出身。川北小1年で川北FCに入団し、サッカーを始める。川北中ではビークス石川SCに所属。帝京長岡では2年春から主力に定着し、4強入りした前回の全国選手権は全4試合にフル出場した。170センチ、62キロ。利き足は右。

◆高円宮杯U-18プレミアリーグプレーオフ 下位のプリンスリーグ9地域の成績上位の計18チーム(北海道2、東北2、関東3、北信越2、東海2、関西2、中国1、四国2、九州2)が参加。18チームを6ブロックに分け、各ブロック1チーム、計6チームの勝者を決定する。来季プレミアリーグは東西各10チームから12チームへと変革。それぞれ下位1チームが降格するため、プレーオフを勝ち抜いた6チームにはプレミアリーグに参入する権利が与えられる。