磐田東(県Aリーグ)が2-0で藤枝明誠(U-18プリンスリーグ東海)を破り、17年ぶり2度目の優勝を飾った。前半開始40秒でMF谷野暁希(あつき、3年)が先制点を挙げると、後半にFW徳増倭(やまと、2年)が追加点を奪った。今大会ではプリンス勢の常葉大橘と浜松開誠館を下し、準決勝では高校年代最高峰のU-18プレミアリーグ所属で前回王者の静岡学園を撃破。格上を連破してきた勢いで「下克上V」を成し遂げた。女子は藤枝順心が3-0で常葉大橘を退け、10連覇を達成した。

   ◇   ◇   ◇

待ちに待った瞬間だった。17年ぶりの優勝を告げる笛が鳴り響くと、磐田東の選手たちは歓喜の声を上げた。ベンチメンバーもピッチになだれ込み、応援に駆けつけた1000人以上の全校生徒も総立ちになった。山田智章監督(57)は「17年前のことを一瞬考えたけど、昔のことで思い出せなかった。頑張った選手を称賛してあげたい」。初優勝した2005年6月5日から、6209日。長く閉ざされていた重い扉をついにこじ開けた。

電光石火の1発だった。開始40秒。自陣からのカウンターでMF谷野が抜け出し、右足のつま先でゴール右に流し込んだ。「入っちゃったという感じです」。格上を連破してきた勢いが乗り移った「先制パンチ」だった。後半31分にも速攻からFW徳増が右足で追加点。最後まで勢いは止まらなかった。

登録メンバーのほとんどが西部地区出身。中学時代は無名だった選手が多い。個々の能力では中部の強豪校に劣るが、チーム力で勝負してきた。山田監督は「素直な子が多く、吸収力もある」。名門清水商出身の指揮官は自身の経験を伝えながら、戦う姿勢も植え付けてきた。先制点を挙げた谷野は磐田U-15からユースに昇格できず、「磐田東で頑張りたかった」。反骨心を持った選手たちが「打倒中部勢」の共通目標を掲げ、大会史に残る「下克上」をやってのけた。

初出場した05年は全国大会1回戦で鵬翔(宮崎)に2-3で惜敗。徳増は「まず1勝したい」と思いを代弁した。全国初勝利の新たな目標に向かって、チームはまだまだ成長する。【神谷亮磨】

<攻撃鳴りひそめ>

藤枝明誠は武器の攻撃的スタイルが鳴りをひそめ、初優勝を逃した。1点を追う前半はロングボールが目立ち、攻撃のリズムをつくれなかった。前半はシュート0本。後半は小気味いいパスワークから相手ゴールに迫るが、積極性を欠いた。80分間で放ったシュートはわずか1本。警戒していたカウンターから2失点した。準決勝までの4試合で12得点を挙げたが、全国切符を懸けた大一番は無得点。松本安司監督(52)は「守られても点を取れるチーム作りをしないといけない。鍛え直します」と雪辱を誓った。