19大会連続19度目出場の藤枝順心(東海1位)が、4大会連続14度目出場の常葉大橘(東海2位)との県勢対決を1-0で制し、2回戦を突破した。0-0の後半13分、MF三宅怜主将(3年)が挙げた今大会初ゴールを守りきった。3日に行われる準々決勝では、高川学園(中国3位=山口)と対戦する。

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藤枝順心の三宅主将が“静岡ダービー”に決着をつけた。0-0の後半13分、右クロスから生まれたゴール前のこぼれ球に反応。162センチの体を倒し、右足ボレーでネットを揺らした。今大会初得点が待望の先制点に。「『やっと取れた』という思いだった」と両手で拳を握り、ほえた。

中村翔監督(34)の采配に応えた。ハーフタイムにポジションを中盤から3トップの中央に変更。(1)前線のターゲット役(2)守備のスイッチ役を託された。三宅は「やるべき事は明確だった」。シュート数で5-7本と下回る中、最前線で守備にも奮闘。自らの1点を守り、接戦を制した。

試合後は感情があふれた。常葉大橘とは、今季公式戦8度目の対戦。ライバルとして常に切磋琢磨(せっさたくま)してきた。DF大箸桜子(3年)とは家族ぐるみの付き合いもある。三宅は「勝敗をつけなければいけないことが心苦しかった」と複雑な心境を吐露。早過ぎる“つぶし合い”に、大粒の涙を流した。

将来は教員志望で、青年海外協力隊として発展途上国に行くことも夢見る。サッカー人生の集大成として位置づける今大会。この日、負けられない理由が加わった。「日本一を取りたいと思う理由が増えた。橘の分も頑張りたい」と誓った。2大会ぶり6度目の優勝まであと3勝-。戦友の思いも背負い、冬の挑戦を続ける。【前田和哉】

■常葉大橘・榊原主将「来年こそ」藤枝順心撃破を託す

常葉大橘は1点が遠かった。前半32分に、FW後藤真生(2年)がGKとの1対1を迎えるなど何度も相手ゴールに迫った。しかし最後の精度を欠き、無得点で試合が終わった。WEリーグ長野入り内定のMF榊原琴乃主将(3年)は「決めきるという課題を最後まで克服できなかった」と唇をかんだ。それでも、チームは7大会ぶりに全国1勝を挙げた。榊原は「最後に今までで一番良い試合もできて悔いはない。来年こそ順心を倒してほしい」と顔を上げ、宿敵撃破を後輩に託した。