前回王者の青森山田が全国選手権2連覇を逃した。世代NO・1ストライカーのFW福田師王(しおう、3年)を擁する神村学園(鹿児島)に1-2で逆転負けし、5大会連続の4強入りはならず。J2町田の監督就任に伴い、今大会を最後にチームを去る黒田剛総監督(52)を日本一で送り出すことはできなかった。

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青森山田の全国選手権は悔し涙で幕を閉じた。1-2のまま試合終了。選手たちは次々とピッチに崩れ落ち、主将のDF多久島良紀、背番号「10」のFW小湊絆(つな、ともに3年)らの目には涙があふれた。決勝ゴールは超高校級ストライカーの福田に奪われ、小湊は「FWの差で負けた」と責任を背負った。「最後は笑って終わりたかったですけど、それがかなわなくなって悔しい」と話した。

先手を取ったのは青森山田だった。0-0の前半34分、小湊が強引に右サイドを突破し、グラウンダーのクロス。最後はゴール前のMF中山竜之介(3年)が右足で押し込み先制した。しかし、後半16分、20分と立て続けに失点。いずれも決定機を逃した直後のカウンターで決められた。

青森山田伝統の10番を背負うプレッシャーとも戦った1年だった。前任者は昨年度の高校3冠(全国総体、プレミアリーグEAST、全国選手権)の原動力になったJ1東京MF松木玖生(19)。「あんなにかっこよく見えた10番が、試合を重ね、俺が着るごとにどんどん価値が見えなくなったというか、俺がつけていい番号なのかなという思いは最後まであった」。エースとして自問自答を繰り返す日々だった。

前回大会は全5試合で途中出場し、計59分間で3得点。一方、全3試合で先発した今大会は無得点と苦しんだ。「黒田監督にも正木監督にも『すいません』と伝えたんですけど、2人とも『絶対にプロになれよ。今すぐ約束しよう』と言ってくれました」。小湊は関東1部の法大に進学する。「この悔しさは一生忘れないと思いますし、黒田監督と正木監督から言われた『プロになれよ』という言葉、青森山田の10番を背負って、大学4年間での成長につなげられたらなと思います」。2連覇を逃した悔しさを糧に日本一のサッカー選手を目指す。【山田愛斗】

▽青森山田・正木昌宣監督(41=黒田総監督にとってラストマッチとなり)「笑顔で送り出すのはかなわなかったですが、黒田総監督がいなくなっても青森山田であり続けられるように、今いるスタッフとこれからの選手たちと一緒に頑張っていきたい」

▽青森山田・多久島主将(準々決勝敗退に)「率直に実力不足でしたし、無失点に抑えられなかったのは自分自身に原因があるので、この経験を次のステージで絶対に生かしたい」

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