自然体で伝統の背番号「10」と向き合う。正木昌宣監督(41)率いる新生・青森山田で司令塔を務めるMF芝田玲(2年)は、「高校3冠」を目指す今季のキーマンだ。1月の東北新人サッカー選手権はボランチで全試合に先発。1得点2アシストで優勝に貢献した。偉大な先輩が身につけてきた“山田の10番”を受け継ぐが、気負わずに新シーズンを戦い抜く。

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青森山田の新司令塔・芝田が背番号「10」を継承した。スペイン2部レガネスMF柴崎岳(30)、J2仙台MF郷家友太(23)、J1東京MF松木玖生(19)ら高校卒業後にプロ入りした先輩もまとったエースナンバーを相棒に、今季のチームをけん引する。

「自分としては10番を背負ってますけど、あくまでも『チームの1人』という感覚です。もちろん『俺が俺が』にはならないですが、10番を背負うからには普通のプレーヤーじゃダメですし、違いを生み出さなきゃダメだと思っています」

7度の日本一に導いた黒田剛総監督(52=現J2町田監督)が、全国高校選手権準々決勝(1月4日)で敗退したのを最後に退任した。同大会は正木監督が指揮していたが、本格的な新体制始動は選手権後。芝田は「正木さんが監督になり、初めての10番をつけるので、軽いプレーはできないですし、自然とその番号に似合う選手になりたいです」。昨季は1年を通してAチームに帯同し、プレミアリーグEAST17試合、選手権全3試合に出場。経験値はチーム随一だ。

新生・青森山田は伝統の強固な守備をベースに「ボールを保持しながら、より怖い攻撃」を磨いている。その上で「つなぐだけになるのは良くないですし、黒田監督は『何でもできるサッカー』と言ってましたけど、それをもっと確立していきたいです」。ボールに関わる回数を増やして中盤を支配。「自分が起点となり、もっとスピードアップさせるパスや攻撃のスイッチをどんどん入れたい」と試合をコントロールする。

今季はプレミアリーグ(4月1、2日に開幕)、全国高校総体、全国高校選手権制覇に挑む。「1年間、練習からぶれることなく、1日1日を大切にして、3冠という目標に向かって進んでいきたいです」と芝田。青森山田の“心臓”として多くの勝利をもたらす。【山田愛斗】

◆芝田玲(しばた・れい)2005年(平17)12月23日生まれ、栃木県出身。御厨FC-青森山田中-青森山田高。22年度はプレミアリーグEAST17試合で1得点2アシスト、全国高校選手権全3試合に先発して1アシスト。170センチ、65キロ。