浦和が5大会ぶり3度目のアジアの頂点に立った。

アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)決勝第2戦でアルヒラル(サウジアラビア)を1-0で下し、2戦合計2-1。後半早々にセットプレーからのオウンゴールで先制すると、強力な個を持つ相手にGK西川周作(36)が神セーブを連発。5万3000人のサポーターの後押しを受け、虎の子の1点を守り切った。初めて秋-春制で行われ、昨季とは指揮官もメンバーも変わる中、シーズンまたぎで栄冠を勝ち取った。

 

優勝の瞬間、真っ赤に染まったスタンドから「We Are REDS」の大合唱が響き渡った。浦和イレブンは抱き合って喜びを分かち合った。DF酒井は「この光景を夢見ていたので信じられない」。21年夏、欧州からJリーグに復帰した際、ACL制覇を目標に掲げていた主将は「できすぎなぐらいで怖い」と満面の笑みを浮かべた。

泥くさく戦った。90分間で相手のボール保持率は70・6%。圧倒的に押し込まれたが、GK西川が最後の壁となった。前半21分には相手FWミシャエウの低い弾道のシュートを横っ跳びでセーブ。同42分にも相手のミドルシュートを右手1本で防いだ。終盤も好セーブを連発して守り切った。

決勝点は、5メートルの強風を味方に付けての得点だった。後半4分、ゴール正面40メートル付近でフリーキックを獲得。浦和は風上。MF岩尾蹴ったボールは風に乗り、ゴール左のDFホイブラーテンが頭で折り返す。走り込んだFW興梠は触れられなかったが、相手DFがクリアしようとしたボールがネットに突き刺さった。17年に続き2度のアジア制覇を手にした興梠は「(決勝で敗れた)19年の借りを返せた。なかなか取れるタイトルでないのでうれしい」と喜びもひとしおだ。

国内シーズンをまたぎ、準決勝から決勝までにチーム体制が変わる異例の今大会。今季から指揮を執るポーランド人のスコルジャ監督は、1月6日の始動からわずか4カ月でチームをまとめ上げた。選手と個人面談を行い「無人島に1人だけ連れていくなら誰を選ぶ」と問いかけたこともあった。選手同士の関係性やそれぞれの性格を理解し、チーム作りに生かした。コーチ陣は日本人スタッフと連れてきた外国人で2人1組とした。クラブや選手を知る日本人の声を重視。あるコーチは「指導者やってきて今までで一番、この人のために本気で頑張りたいと思った」と明かした。

Jリーグ開幕から2戦は2連敗と苦しんだが、守備の規律を浸透。3月4日のC大阪戦で勝利してからは、公式戦は13試合無敗と負けない強さを身に付けた。今年12月にサウジアラビアで開幕するクラブワールドカップ(W杯)の出場が決定。世界の舞台でも、アジアの強さを発揮する。