大宮アルディージャの元日本代表GK南雄太(44)の引退セレモニーが、東京ヴェルディ戦の後に行われた。

東京Vに完敗し、ファンからはブーイングも飛んだ後だけに、南もややかたい表情だったが、スクリーンに映し出された子供のころからの思い出の写真を感慨深げに見つめた。

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南はプロ26年でGKとして史上最多の666試合に出場。この日の東京V戦もフル出場した。目を潤ませながら、ファンに最後のあいさつ。

「私、南雄太は本日をもってサッカー選手を引退します。ロアッソ熊本から横浜FCに移籍した35歳くらいの時に引退が隣り合わせにあることを実感しだしました。その中で、自分の中で1つルールを決めました。試合に出てチームを勝たせる、その水準に自分がなくなったらサッカーを辞めようと決めてました。それが来ないように毎日必死で頑張りました。いつその時が来るか分からない中で、でも、いつその日が来てもいいように、1日1日を大切に必死にやってきました。昨年、アキレス腱(けん)を切って、今季なんとか試合に出られるところまで来ましたが、ケガする前の自分に戻ることはできませんでした。だからその自分で決めたルールを決断する時が来たと思いました。それが今シーズンで引退する理由です」と引退の理由について説明した。

さらに「幼稚園からサッカーを始めて40年です。たくさんの指導者の方々、学生時代一緒に戦った仲間たち、所属した4クラブ、柏レイソル、ロアッソ熊本、横浜FC、大宮アルディージャ、その選手、スタッフ、クラブ関係者、スポンサー、行政の方々、ファン、サポーターの皆さま、そしていつも支えてくれた妻や子供たち、両親、兄弟、先輩や後輩、そして友人、そのみんなのおかげで今ここに立っていられると思いますし、間違いなく自分1人ではこんなに長くサッカーを続けることは出来なかったと思います。本当に感謝しています。僕に関わってくれた人たち、本当にありがとうございます」などと感謝の言葉を述べて大きな拍手を浴びた。

南は有名なオウンゴール(04年5月22日の広島戦で、味方にボールを投げようとした際に誤って自軍のゴールに投げ入れてしまった)について「オウンゴールをした際にはサッカー界から抹殺されるかと思いましたが、プロ入りから今日まで26年間、なんとかサッカーを続けてこられました。大好きなサッカーを仕事にできて、さまざまな経験をさせてもらって、人間的にも成長させてもらい、そしてサッカーを通して、本当に素晴らしい仲間たちに出会うことができました。これが僕のサッカー人生での何よりの財産です。自分に関わってくれた人たち、感謝、感謝です。ありがとうございました」と話すと笑顔も見せた。

そして1つだけ悔いが残ることとして「今年のアルディージャの結果です」と話し、「クラブの全体的な緩さみたいなものを変えることができなかったことにすごく責任を感じています。ずっと先の未来であの苦しい時があったから今があるんだ、クラブが変われたね、って、そんな風に思えるように、アルディージャが大きく変化してくれることを心から強く希望しています」とした。

小、中学時代に読売クラブの下部組織で育った南は最後にヴェルディサポーターに向かって「僕はデビュー戦もヴェルディで、今日、最後の試合もヴェルディでした。特別な縁をずっと感じています。今まで所属した4クラブの次にヴェルディを応援してますので、ぜひJ1に昇格してください。頑張ってください」とエールを送った。