今季限りで現役を引退する大宮アルディージャGK南雄太(44)が27日、さいたま市内のホテルで引退会見に臨んだ。静岡学園から18歳でJ1柏レイソルに加入。ロアッソ熊本、横浜FC、大宮アルディージャと渡り歩き、J通算666試合に出場した。

南は冒頭「基本的にNGがないように話そうと思います」。04年5月22日の「サンフレッチェ広島-柏レイソル」戦で、南が味方へ手でパスしようとしたところ、自陣のゴールに投げ入れてしまった「伝説のオウンゴール」についても「せっかくなので解説を」と自らの口で語り始めた。

南 「今でもはっきり覚えているんですけど、(右にセンターバックの)中沢聡太がいて。僕は、中沢聡太にボールを転がそうとしたら、(中沢)聡太が“あっちがフリー”と(左を)指さしたんですよ。見たら、(センターバックの)近藤(直也)がフリーだと思って、投げようとした瞬間に、広島の選手がダッシュしてきた。やめようと思ったら、ボールがゴールに入っていた。半分ぐらい(中沢)聡太が悪いです(笑い)」

今でも動画でネットの世界に残っているが、当時はまだ、SNSは普及していなかった。「心からSNSがない時代で良かったなと。今なら、バズってやばかったなと。本来はあってはならないこと」。敵地での試合だったが、試合も0-3で敗れ、試合後は柏のサポーターに選手が乗るバスを取り囲まれたことも鮮明に記憶に残っている。

「最初の2、3年は笑い話にも出来なかった。1プレーで、これだけ影響があると、その怖さをすごく知ることが出来た。たった1つのミスでいろんなものを失うと経験できたので。これは間違いなく、自分のサッカー人生のその後に生きました」と振り返る。

そして今、オウンゴールでの件で仕事の依頼があることも明かし「今ごろになって仕事がその案件で来たりとか(笑い)。そういうのは、やっちゃいけないことなんですけどね…。自分でも驚いてます」と苦笑していた。