東京ヴェルディが2008年以来、16年ぶりのJ1復帰を決めた。0-1とリードを許しての瀬戸際。後半アディショナルタイムにFW染野唯月(22)が殊勲の同点ゴールを決めた。
アディショナルタイム突入から3分が過ぎた。状況が厳しくなる中、右サイドのMF中原輝が最前線へロングパス。染野は絶妙のトラップで前方のスペースへワンタッチで持ち出し、ドリブル。ペナルティーエリア右側に持ち込んだところ、スライディングタックルで倒された。
ペナルティーエリアの外か、中か。一見では判断できない微妙な位置だったが、エリア内と認定された。重圧のかかる場面。しかし、慌てることなく冷静に、かつ力強くゴール右にシュート。必死にセーブを試みたGK大久保択生の手が触れたが、ボールの勢いが勝った。
土壇場での同点ゴールは、チームを地獄から天国へと引き揚げる一撃となった。
染野は「自分の一番いい形でトラップができたからPKにつながった。どうしても点を取りたいという気持ちが強かった。緊張はしましたけど、思い通りに蹴れました」。
ひと言ひと言、噛みしめるように話した。そこには安堵(あんど)の表情を浮かんでいた。