2日に今季J2の全日程が終了した。リーグ屈指のタレントを誇った清水エスパルスは東京ヴェルディとのJ1昇格プレーオフ(PO)決勝で引き分け、今季の最低目標だったJ1復帰を果たせなかった。過去最高の強化費を投じながらも、J2で4位はクラブ史上最低の結果。日刊スポーツ静岡版では屈辱のシーズンとなった今季の戦いぶりを2回にわたって振り返る。前編はフロントの失態について考察する。

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今季の清水は昨季から何も変わっていなかった。クラブ史上2度目のJ2降格が決まった昨年11月5日。山室晋也社長(63)は声明を発表した。「強い意志のもと変革し、皆様の信頼を取り戻すべく精進いたします」。誰も責任を取らずに臨んだ今季はJ2で4位。信頼を取り戻すどころか、再び失望させた。変革の柱に掲げた「育成型クラブ」への転換も実現せず、ただただ同じ失態を繰り返しただけだ。

その責任は重い。今季は過去最高の強化費(約30億円)を使い、過去最低の結果だった。春先には5季連続でシーズン途中での監督交代。また現場だけが責任を取らされ、「ころころ“上司”が変われば、対応するのは難しい」と不満を漏らす選手もいた。繰り返される監督交代に振り回された選手の気持ちも考えるべきだった。

監督の人選や選手編成など、全てを主導してきた大熊清ゼネラルマネジャー(GM、59)はPO敗退後に謝罪した。責任の所在を追及する質問は過去に何度もしているが、返答はいつも同じ。聞き慣れた言葉に重みは全く感じられなかった。

昨季終盤で7戦未勝利だったリカルド前監督を続投させ、今季は開幕7戦勝ちなしで解任。「チームをいい方向に変えてくれた」(大熊GM)という根拠のない理由で指揮を任せたことが裏目に出た。それも、見立ての甘さが招いた結果だ。

危機感の欠如も露呈した。勝てば、J1自動昇格だった最終節水戸戦の4日前。クラブハウスの駐車場では高級外車の展示会が催されていた。クラブの命運が懸かっていた大事な試合前とは思えない空気感で、クラブ内から「今じゃなくても」という声も聞こえた。先方の都合があったとはいえ、日程の変更はできたはず。会社のトップでもある山室社長が意気揚々と試乗している姿は異様だった。

フロントは来季も現体制を継続するようだが、サポーターを納得させられる説明はできるのだろうか。山室社長はホーム最終戦でもサポーターへのあいさつは行わなかった。本来なら最終節の水戸戦に向けて共闘を呼びかけてもよかったはず。はたから見れば、「逃げている」と思われても不思議ではない。体制を変えないのであれば、せめて、サポーターに直接説明する場があってしかるべきだ。

山室社長と大熊GMの「現体制」になった20年以降で成績が上向いたシーズンは1度もない。「結果を出すことが責任の取り方」と言った今季も期待を裏切った。何度も強調するが、今季はクラブ史上最低の結果。なし崩し的に新体制に移行することだけは許されない。何も変わろうとしないフロントに不信感を抱いている選手もいる。来季はクラブ史上初めて2年連続でのJ2。「ダメなら次」という甘い考えは、もう通用しない。【神谷亮磨】