横浜F・マリノスが「死のロード」と闘っている。

国際Aマッチデー期間明け、3月30日の名古屋グランパス戦(1-2)を皮切りに、中3日の4月3日に川崎フロンターレ戦(0-0)、中3日の7日にヴィッセル神戸戦(2-1)、さらに中2日で明日10日にガンバ大阪戦(日産ス)を迎える。

さらに続ければ、中2日の13日に湘南ベルマーレ戦(日産ス)、韓国へ移動して中3日となる17日にはAFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝第1戦・蔚山現代という流れだ。つまり19日間で6試合。3日に1試合をこなす「大ハード」な日程の真っただ中にある。

チームはG大阪戦を翌日に控えた9日、横須賀市内の練習場で午前中にトレーニングを行った。疲労感に拍車をかけるような朝からの暴風雨。そんな悪天候にも負けず、ハリー・キューウェル監督をはじめ、選手たちはいつも通りに淡々と練習メニューをこなした。

ずぶ濡れになった練習後、キューウェル監督は「両チームともフィジカル的に疲れはある。簡単な相手ではないし、お互い同じ条件だから」と意に介さない。さらにこう続けた。

「スケジュールを把握している中で、最高のチームと試合ができる。心配よりもワクワクした楽しみがある。こういうスケジュールでやるのは分かっているし、だからこれだけいい選手がうちにはそろっている。メディカルチームもしっかり選手をコントロールしながら、いい準備をさせているし、自分は信頼している。11人だけのことを考えるのではなく、全員のことを考えながら、1人1人を見た上で戦い方を考えたい。リーグ戦だけじゃない、カップ戦もある中で、いろんなことが想定できるが、それを決めるのは私だ。いいグループを1人でも多くがフィットした状態で臨むことが大事です」

FWアンデルソン・ロペス、ヤン・マテウス、エウベル、DFエドゥアルドのブラジル人選手をはじめ、日本人選手も代表歴のある選手がDFラインから前線までズラリ。この選手層の厚さこそマリノスの強み。メンバーへの全幅の信頼、そして自らの強い信念が指揮官の言葉ににじんだ。

現役時代はオーストラリア史上最高の選手とうたわれ、ライバル関係にあった日本代表としのぎを削った。くしくも翌日のG大阪のベンチには元日本代表のレジェンド、遠藤保仁コーチがいる。そこを問われると「名前は覚えている。ワールドカップ(06年ドイツ大会の対戦時)には出ていなかったと思うが、その後の予選やアジアカップで対戦した。どうしているのか話すかもしれないが、私も彼も今は指導者。試合の方に集中したい」と回答した。

過密日程とあって重圧がかかる。日本生活での気晴らしについて話を向けると、「大好きな仕事につけて、自分の中でストレスはかかえていません。自分のいる世界はこうなんだと分かっている中でゼロとはいいませんが、でも楽しいことをやっているのでストレスは感じていません。強いてサッカー以外で言えば、ジムによく行きます。体を動かすことで頭をクリアにして何かを解決したり、何か新しいことを発見しています。だから自分をジムで見つけて“あっ監督がいる”と思ったら、何か考えているんだなと思ってください」と笑った。

リーグ戦と並行してアジアの頂点を目指している。強いモチベーションが背中を押している。ひげをたくわえたワイルドな風ぼうのキューウェル監督に率いられ、「ダイハード」マリノスは最後の最後まで闘い抜く構えだ。