なでしこジャパンの守備の要、DF岩清水梓(24)が4日、所属する日テレとプロ契約を結んだことが分かった。金額は非公表だが、10月1日から15年1月31日まで3年4カ月の長期契約。優勝した女子W杯ドイツ大会後では、なでしこリーグ初の新たなプロ契約選手になった。なでしこジャパンの国内組ではMF沢、大野(ともにINAC神戸)、DF矢野、GK山郷(ともに浦和)に続く5人目。日テレでは唯一のプロ選手になる。

 岩清水は「女子サッカー選手の底辺を広げていかなくてはならない。自分がプロとして契約することで、多くの女子選手の目標やきっかけになってもらえれば。少しずつでも環境が良くなればいい」とコメントした。これまでコンビニエンスストア店員やプールの監視員などのアルバイトを経験した後、日テレ関連の会社に勤務していたが、先月末で退社した。

 もっともサッカーだけに専念するつもりはない。中学時代から所属してきた日テレ(もしくはJ2東京V)への恩返しの意味合いもあり、クラブプロデュース部企画広報担当の一員として、練習のない昼間は仕事を手伝うという。さらに地元を中心にサッカー教室などを行って、普及活動にも力を入れる予定だ。

 なでしこジャパンでは守備の大黒柱。W杯決勝の米国戦では試合終了間際に身をていして勝ち越し点を防いだ。レッドカードの退場処分を受けたが、気迫のプレーは日本中を感動させた。感銘を受けた岩清水の出身地・岩手県の「平川商事」や、化粧品や健康食品などを製造販売する「SONOKO」などが、日テレと新たなスポンサー契約を結んだことも、岩清水のプロ契約を後押しした。

 首位INAC神戸は来季から全員プロ化を検討中。岩清水のプロ契約は、女子サッカー界のさらなる発展の第1歩となる。