FIFAワールドカップ(W杯)1次リーグE組の日本(FIFAランキング24位)は27日、第2戦でコスタリカ(同31位)と対戦する。23日のドイツ戦に歴史的な勝利を飾ったとはいえ、1次リーグ突破を確実にするため、勝利はもちろん、点差もつけたい。昨年までの1シーズンをコスタリカリーグでプレーした斉藤誠司さん(36)が決戦を前に同国のプレースタイルを解説した。

コスタリカをなめていると痛い目に遭う。同国2部リーグのカリアリ・ポコシで昨年までプレーした斉藤誠司さん(36)は「日本のファンは一番勝つチャンスがあると思ってるけど、結構厳しいんじゃないかなと思います」と断言する。

J1柏レイソルの下部組織出身の斉藤さんは、これまで11か国でプレー。今も現役を続けながら、指導者や代理人業している。1次リーグで日本が戦う3か国のアカデミー年代の育成にも精通し、各国を回ったこともある。その中でもコスタリカのクラブチームの練習を見た時の衝撃は大きかった。どこよりも守備に重きを置いた指導が行われていたという。

斉藤さん コスタリカのサッカー協会が作る育成のガイドラインでも1対1、2対1の守備の仕方がきっちりと書かれ、現場でもそれが尊重されていました。各世代から落とし込むような仕組みにしているから、守備に時間を割いた練習が圧倒的に多い。チームの関係者が「いくら攻撃で点を取れて上手な選手でも、守備ができないと使えない」とよく言っていました。

全員が役割をきっちりこなし、堅守を軸に少ないチャンスを物にする。結実したのが、14年ブラジル大会。GKナバス(35=パリ・サンジェルマン)を中心に粘り強く守り、1次リーグでウルグアイやイタリアといったW杯優勝国から勝利。1位でグループ突破し、初の8強入りを果たした。大会5試合を通じてわずか2失点。8年前の成功体験は強豪国にも臆さない自信につながっている。

今大会も組織的な守備からゲームを作ることは変わらない。ただ、初戦のスペイン戦では屈辱のシュートゼロで0-7と大敗したコスタリカは、勝ち点3を取るため、攻撃的にくる可能性が高い。日本にとっては、そこがチャンスになる。

斉藤さん コスタリカも守備を固めてるだけではいけないと、どんどん攻撃を仕掛けてくる可能性もある。前のめりになっているところで日本が素早くボールを奪って、攻撃を仕掛けられれば意表を付くことができると思います。

大金星を挙げたばかりだが、引き締め直して戦う必要がありそうだ。【平山連】

 

◆斉藤誠司(さいとう・せいじ) 1986(昭61)年5月27日、さいたま市生まれ。J1柏の下部組織に所属していた16歳の時に単身ブラジルに渡り、ポルトガルやコスタリカなど11か国でプレー。現役選手を続けながら代理人業やアカデミーを運営し、19年から地元に「セジニョサッカーアカデミー」を設立。独自の指導と豊富な人脈を生かし、海外挑戦を目指す選手をバックアップしている。