アルゼンチン(FIFAランキング3位)のFWリオネル・メッシ(35=パリ・サンジェルマン)が、後半19分に左足一閃(いっせん)のミドルで先制ゴール、同42分にはアシストも記録した。負ければ敗退の崖っぷちで2-0の今大会勝利をもたらした。これでW杯通算8点目、出場数も同国最多の21試合となり、ともに25日が命日だった母国の英雄マラドーナ氏に並んだ。

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流れを変えたのは、やはりメッシの左足だった。後半19分、FWディマリアからペナルティーエリア外でボールを受け取ると、一瞬で流れを変えた。こじ開けられなかった相手の5バックに生まれた隙を逃さず、正確かつ低い弾道でゴールの右隅へ。今大会最多8万8966人がつめかけた会場を熱狂させた。「後半、私たちは非常に冷静にプレーをした。問題は私たちの方にあった。勝たなければならなかった」と言った。

まさかの逆転負けを喫したサウジアラビア戦から中3日。負ければ、02年日韓大会以来の1次リーグ敗退だった。重い空気を吹き飛ばす2戦連続の先制弾だ。

「これが私たちの最初の試合と言えるかもしれない。多くの若い人たちが初めて参加したが、このような結果を生まなければいけなかった」

これでW杯通算8点目。また出場試合数も同国最多の21となり、ともにマラドーナ氏に並ぶ記録になった。2年前に亡くなったマラドーナ氏は、25日が命日だった。86年大会を優勝に導いた「英雄」に、勝ち点3をささげた。

06年ドイツ大会から出場を続けて、今なお最前線を走るメッシ。衝撃的なゴールで息を吹き返した。同42分にはMFフェルナンデスのゴールを引き出して、史上初の5大会連続アシストも記録した。

「最後のW杯になる」と明言した今大会。バロンドール7度受賞の「神の子」が狙うのは、マラドーナ以来となる3度目の優勝だ。

「負けるわけにはいかなかった。私たちのワールドカップを自分のものにするために、勝たなければいけなかった」

波乱の幕開けとなったアルゼンチンが、エースの一撃で目を覚ました。