モロッコがカナダを2-1で退け、グループリーグ1位で決勝トーナメント(T)進出を決めた。前節で前回大会3位、世界ランク2位のベルギーに勝つ番狂わせを起こした勢いそのままに、36年ぶり2度目の16強入り。レグラギ監督は、6日の決勝T1回戦のスペイン戦に向け、目標を上方修正した。

前半5分、チェルシーのMFジエシュ(29)が相手のミスを逃さず、右サイドペナルティーエリア外から放り込んで先制。さらに同23分、DFハキミ(24=パリ・サンジェルマン)のロングボールにFWネシリ(25=セビリア)が反応し、右足でゴールネットを揺らした。同40分に今大会初のオウンゴールで1点を返されたものの、既にワールドカップ(W杯)敗退が決まっていたカナダを相手に最後まで気力を切らさず、逃げ切りに成功した。

客席を埋めたサポーターは、「モロッコレッド」一色。地鳴りのような大歓声で、モロッコの攻撃を後押しした。今年8月、ハリルホジッチ前監督の後を受けて就任したレグラギ監督は、「今日の前半は今までで最高の出来だった。モロッコの人々を喜ばせることができたと思う」。アフリカ勢のグールプ1位通過は98年のナイジェリア以来。最高の結果でサポーターへ恩返しし、胸を張った。

決勝Tでは強敵スペインと激突する。レグラギ監督は、報道陣からの「優勝の可能性はあるのか?」との問いかけに、マン・オブ・ザ・マッチのハキミと顔を見合わせてにっこり。「目標はグループ突破だった。それを成し遂げた後に、頂点を目指さないことがあるだろうか。トロフィー獲得を夢見てもいいでしょう」と言い切った。クロアチア、ベルギー…。強敵ひしめくF組を1位突破したアフリカのスター軍団が、決勝Tでも台風の目になる。