モロッコ(FIFAランキング22位)が歴史をつくった。FWネシリ(セビリア)のゴールで、1-0でポルトガル(同9位)を撃破した。アフリカのチームとして初めてW杯4強に入った。アフリカ勢では過去にカメルーン(1990年)、セネガル(2002年)、ガーナ(2010年)がいずれも準々決勝で涙をのんできた。モロッコが“4度目の正直”で値千金の勝利をつかみ取った。

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スペイン戦(6日、0-0のPK戦勝ち)に続き、またも番狂わせを起こした。モロッコのボール支配率は今大会は常時30%台。この日もポルトガルにボールを持たれる時間は長くなったが、4試合でわずか1失点の自慢の守備が光った。自陣に引いてブロックを敷く。相手を引き込んでから、FWブファルら推進力のある選手たちが一気にカウンターを仕掛けた。

そして前半42分、左サイドバック、アティアトアラハのシンプルな左クロスに身長188センチのネシリが宙を舞った。相手GKのパンチングのその上をいく打点の高いヘディングでワンバウンドの先制ゴールを突き刺した。

ポルトガルは大黒柱のロナウドが2試合連続でベンチスタート。4日前のスイス戦でハットトリックと大活躍した21歳の新鋭FWラモスの得点力に懸けたが思うようにいかず、後半6分に早々とロナウドを投入した。さらにボールを支配し、反撃に出てきた。

だがラモス、ブルーノ・フェルナンデスらがゴールを狙うが、得点には至らない。完全にハーフコートゲームとしたが、最終ラインに5人が守るモロッコの集中力を高める結果となった。

何よりGKブヌの堅守が光った。後半38分にはジョアンフェリックスの強烈なシュートをファインセーブし、チームを救った。その後もロナウドのシュートも封じた。

アディショナルタイムに途中出場のFWシェディラが2枚目のイエローカードで退場。10人となったモロッコだったが、狙い通りのゲームプランを実行し、まんまと逃げ切りに成功した。

この日は会場のアルスママ競技場を4万4198人のファンが埋め尽くした。モロッコのサポーターは地の利を生かして大挙して訪れ、大声援を送った。今大会最少失点のチームはエールを背に体を張ったディフェンスで、ロナウド擁するポルトガルまで倒した。