ワールドカップ(W杯)ロシア大会の出場辞退は、彼にとって吉と出るのだろうか。

 香川真司が所属するドルトムントは5月19日、アウグスブルクからGKマービン・ヒッツを3年契約で獲得した。しかしその前日に同選手はスイス代表の一員としてW杯に行くことを自ら放棄している。大衆紙「ビルト」によれば、その理由はただ1つ。来たる18-19年シーズン、ドルトムント守護神の座を掴むためだという。

 スイス代表GK3人のうち、ボルシアMGでプレーするヤン・ゾマーは、正GKとしてほぼ当確。彼に続く第2GKはドルトムントに所属するロマン・ビュルキ。そして出場の可能性が極めて少ない第3GKが、このヒッツだった。

 そんなヒッツにとって、スイス代表を辞退することにより生まれるメリットは少なくない。同紙によれば、来季からチームメイトとなるビュルキはW杯期間中にベンチを温める公算が高いだけでなく、同大会に参加しているためドルトムントのプレシーズン始動日には確実に間に合わない。しかしその一方でヒッツは十分な休みを取り、心身ともに最高の状態を保ちながら、ルシアン・ファブレ新監督と初日から時間をともにできる。したがって「ヒッツ>ビュルキ」の構図になることも十分考えられるという。

 5シーズンにわたりアウグスブルクでヒッツを指導してきたGKコーチのジェンコ・ミレティッチもビルト紙に対し、「マービンはどんな時も自分の任務に集中しているし、まだまだ成長できる。決して(ビュルキの控えとして)第2GKを務めるために、ドルトムントへ移籍したわけではない」と話しており、かつての教え子が1歩リードすると予想している。