ニューカッスルFW武藤嘉紀(26)は、FW岡崎慎司が所属するレスター戦でベンチ入りしたが、最後まで出番はなかった。これで2試合連続の出番なし。今年に入って先発はゼロ。途中出場3試合と出場機会を得られていない。苦しい移籍1年目となっているが「これでプレミアから逃げたくはない」と心境を語った。

チームはボールを握られる展開だったが、前半32分にFWペレスが挙げた1点を守り抜き、4試合ぶりの勝利となった。数字上では2部降格の可能性が残っているものの、勝ち点を38として、プレミアリーグ残留を決定的とした。武藤は「出ていないから何とも言えないですけど、やっぱり2部に行くよりプレミアでプレーしたいという気持ちもあります」と話した。

試合後に対戦相手の岡崎と話したという。「岡崎選手から助言をもらいました。本当に彼は、ずっとスタメンで出続けて、プレミアを制覇している。彼ほど経験のある(日本人)選手はいないですし、1つ1つの言葉に重みを感じました」と感謝した。

会話の内容は「(自分が)できるポジションが限られてきてしまっていることもあって、そういった時にどういう考えを持ってやるのか、途中から出て何をするのか、器用貧乏にならないようにしなきゃいけないとか、そういう点を話しました」と、途中出場しかチャンスをもらえない現状で何が必要なのかを教えてもらったと明かした。さらに「もっともっと彼(岡崎)から(良いところを)吸収して、よりFWとしていいプレーヤーにならなくちゃいけないなと、改めて思いました」。岡崎の背中から何かを感じ取ろうとしている。

残り4節。プレミアリーグ残留がほぼ決まったことにより、控えの選手にチャンスが回ってくる可能性がある。「やっぱり最後の4試合で結果を残すことしか頭にないですし、そこでやっぱり(結果を)残せないと、来季の始めに監督も使いづらくなると思うので、そこに全神経を集中させないといけないかなと思います」と、来季に向けて勝負の4試合になると話した。

岡崎同様、マインツからプレミアリーグに挑戦となった。シーズン序盤は出場機会を得ていたが、昨年11月3日のワトフォード戦で左足のふくらはぎを負傷してから出番が激減。アジア杯でチームを離れたことで、さらにチーム内での序列が下がってしまった。公式戦15試合に出場して1得点と結果を残していない状況に「やっぱりここで1年間通して(試合に)出続けられなかったというのは、何かしら自分に足りないものがあったと思わないといけない」。自身の立ち位置を考えさせられる1年目となっている。

世界一の資金力を持つプレミアリーグ。毎年のように他国リーグから多くの代表選手が挑戦するが、いきなり活躍できる選手は一握り。2年目には期限付き移籍も含めて他リーグでプレーする選手も珍しくはない。それでも武藤は「これでプレミアから逃げたくはない。とにかく、この悔しい気持ちを絶対に忘れちゃいけない。ここからはい上がらないといけないなという気持ちがあります」。来季もポジション争いの厳しいプレミアリーグで挑戦し続けたいと話した。

(山中忍通信員)