フランス1部パリ・サンジェルマンがJ1川崎フロンターレと日本ツアー初戦で対戦。2-1で勝利した。トップ下に入ったアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(35)が先制ゴール&2点目の起点となった。それ以外にもテクニカルな、世界トップクラスのプレーを連発。新しくなった国立競技場では過去最多6万4922人で埋まったファンを魅了した。

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3000万円のチケットまで売り出された待望の一戦でメッシがきら星の輝きを見せた。Jリーグでは圧倒的にボールを保持しながら攻める川崎Fに、ボールを持たせない。パリ・サンジェルマンはトップ下に入ったメッシを中心にパスをつなぎ、立ち上がりから好機をつくり続けた。

前半32分、左サイドのエムバペが逆サイドにクロス。右ウイングバックのハキミが落とし、メッシが右足でシュート。これが相手に当たってコースが変わり、ゴール左に吸い込まれた。スタンドを埋めた6万人を超えるファンからは大歓声。まるでパリSGのホームのような喜び方だった。

得点だけではない。昨季加入直後は周囲との連係が不安視されたが、プレシーズン練習から参加している今季は違う。エムバペ、ネイマールらとの息の合ったパス回しで川崎Fを翻弄(ほんろう)。その2人がハーフタイムで交代する中、後半17分までピッチに立ち続け、カリムエンドのチーム2点目も起点となった。

試合後、パリSGのガルティエ監督は満足そうな表情を見せた。「対戦相手はリーグ戦真っ最中。フィジカル面、戦術面、いろんな意味で準備万全だった。それに対して、我々は攻撃で素晴らしいコンビネーションができた。プレスをかけ、高い位置から攻められた」と選手たちを評価した。

メッシは18日に行ったサッカークリニックの質疑応答で子供たちに向かって「やっぱり何よりもサッカーを楽しむこと。これが大事だと思う」と強調。この日は遊び心、楽しさ満載のプレーを実践してみせた。試合後は報道陣の待つミックスゾーンを“スキップ”。最後までメッシのペースでホテルへ戻っていった。【千葉修宏】

◆パリ・サンジェルマン 1970年に設立。11年にカタールの投資庁の子会社であるカタール・スポーツ・インベストメントが買収。過去には元ブラジル代表ロナウジーニョ、元イングランド代表ベッカムらも在籍。女子サッカーチーム、ハンドボールチーム、柔道チームなども展開。フランスで最も成功したクラブといわれる。昨季は、初優勝を狙った欧州チャンピオンズリーグは16強でRマドリードに逆転負けしたが、国内リーグでは2季ぶり10度目の優勝。

○…パリSG日本ツアー各試合において限定3枚で発売されていた3000万円のNFTチケット(デジタル上で所有を証明できるチケット)は結局、売られなかったことが判明した。関係者は「2桁を超えるかなりの数の申し込みはいただきました。100万円、1000万円のチケットと違い、海外(中国、欧州など)からの申し込みが多かった。入国ビザの対応などもやらせていただいたんですが時間切れとなってしまった」と説明した。