技巧派で鳴らすレアル・ソシエダードMF久保建英(21)が、日本代表のドイツ遠征を前に新たな一面を披露した。

ホームのエスパニョール戦に先発し、前半17分に体を張った泥臭いプレーで先制点をアシスト。相手GKに猛然とプレスをかけ、タッチが大きくなったボールをかっさらい得点につなげた。チームも2-1と勝利し、8位浮上。新天地で出場時間を伸ばし、その輝きは増している。

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久保の泥くさいプレーが先制点を生んだ。前半17分、DFからのバックパスを受けたエスパニョールGKアルバロ・フェルナンデスに向け、猛然とダッシュした。いわゆる「鬼プレス」を敢行。前方へトラップが大きくなったところを見逃さなかった。身を投げ出すようにわずかに速く、左足先でボールを突いた。これがゴール前へのパスとなり、FWセルロートが無人のゴールへと押し込んだ。

ケガをも恐れぬ勇敢なプレーだった。奪った直後、GKが空振りした右足が左ふくらはぎに直撃。ピッチに倒れ込んでもん絶した。それでもすぐに立ち上がり、仲間と抱き合って得点を喜び、何事もなかったかのようにプレーを続けた。小柄な久保は先入観からか、これまで指導を受けた各クラブの指揮官から守備面について指摘されることも多かった。だが珍しい形でのアシストに「ディフェンスでも貢献できると示したかった」と胸を張った。

後半36分の交代時には、本拠地のファンから喝采を浴びた。「あんなに拍手をもらえるとは思っていなかった」と喜んだ。15日の欧州リーグ1次リーグ・オモニア(キプロス)戦に続き、公式戦2試合連続アシストと好調のまま日本代表に合流。「調子が良いので自信を持って参加したい」と力強く語った。

ただ、Rソシエダードのアルグアシル監督は試合後に「ウチは勝ちにふさわしかった。前後半ともにポジティブな点がいくつもあった。ただ、だからこそ得点はもっと取れたはず。2得点は最低限だ。そこが残念な気持ちにすらなる理由だ」と、攻撃面への不満を隠さなかった。もっと完璧な形でのゴールを、という指揮官の高い理想が、久保をさらに上のレベルへと進化させそうだ。