トルコ(FIFAランキング42位)が今大会のダークホースとして注目されたオーストリア(同25位)を2-1で下し、16年ぶり3度目となる準々決勝進出を果たした。
DFメリル・デミラル(26=アルアハリ)が2ゴールを挙げると、最後はGKメルト・ギュノク(35=ベシクタシュ)が神懸かり的なセーブを披露し、1点差を守り抜いた。
トルコが先手を取った。試合開始早々の57秒だった。MFギュレルが右CKから鋭く正確なボールを入れると、オーストリアDF陣は混乱。クリアしようとしたボールが味方に当たり、自陣ゴールに転がったところをGKペンツがかき出したボールをDFデミラルが押し込み先制した。
対するオーストリアも、トップ下のバウムガルトナーが切れ味鋭いプレーを次々と披露し、反撃に出た。前半27分には個人技で中央を突破して右足のミドルシュートを放ったが、わずか左へ外れた。その後もバウムガルトナーがチャンスを演出する形でトルコゴールへと迫った。
トルコに追加点が生まれた。後半14分、再び右CKからギュレルが正確なボールをニアサイドへ送ると、デミラルが頭で押し込み2-0とした。レアル・マドリード所属の左足の魔術師、ギュレルを擁するトルコの武器となるセットプレーが威力を発揮した。
2点のビハインドとなったオーストリアが猛攻を仕掛けた。後半21分、右CKからMFザビッツァーが送ったボールをDFポッシュが頭ですらし、FWグレゴリッチュが右足で押し込み1点を返した。
終盤はオーストリアがパワープレーでゴールを脅かす。懸命にはね返すトルコ。そしてアディショナルタイムの後半50分、ビッグプレーが飛び出した。
左からのクロスボールをバウムガルトナーがファーポスト際でフリーとなり、完璧なヘディングシュートを地面にたたきつける。GKにとって最も難しいとされる、クロスボールからの地面を叩く弾道。コースも対角を狙った正確なものだった。これにトルコの守護神ギュノクが鋭く反応。横っ跳びしながら右手1本で阻んだ。まさに勝負を分けるワンプレーとなった。
そして試合終了のホイッスル。熱戦のフィナーレは、歓喜と涙が交錯するコントラストに包まれた。
敗れたオーストリアの名将ラングニック監督は「我々には必要とされる運がなかった。もし延長戦に持ち込めば勝てると信じていた。同点とする時間はあったが、ゴールに“ゴードン・バンクス”がいたら難しい」とコメントした。
イングランド代表史上最高の守護神、ゴードン・バンクス(1917~2019年没)。1970年ワールドカップ(W杯)イングランド大会では、ペレの完璧なヘディングシュートをセーブし「世紀のセーブ」と呼ばれた。その活躍でチームを初優勝に導いた伝説の偉人だ。その名前を出した上で、トルコGKギュノクの神懸かり的なセーブをたたえた。

